神々の塔
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第三十七話 氷の海の神々その五
「冬は大変やで」
「暑い国から来てるとな」
「私も男やが」
シンガポール、熱帯にあるこの国から来ているリーも言ってきた。
「暑いのは平気でも」
「それでもやね」
「寒いのは困るわ」
「それで厚着してるんやね」
「あと寮はな」
こちらはというと。
「暖房がいつもな」
「効いてるんやね」
「これ寒い国から来てる人も同じやしな」
「煖房利かすのは」
「欧州の人達もな」
「そういえば欧州ってめっちゃ寒いわ」
綾乃はここでこのことを思い出した。
「ロシアや北欧やなくても」
「ニューヨークでも凍死するで、下手したらな」
そのニューヨーク生まれのメルヴィルの言葉だ。
「部屋の中でもな」
「北京もや、結構寒いんや」
今度はこの街生まれの羅が言った。
「これがな」
「そやったね、これが」
「パリでも宗谷岬より北にあるしな」
中里はここでこのことを思い出した。
「それやとニューヨークや北京かてな」
「ヨウスコウワニは冬眠するで」
施は自分が親しんでいるこの大河の話をした、言うまでもなく黄河と並ぶ中国を象徴する大河である。
「あの辺りもそれだけ寒いで」
「カルフォルニアも冬きついしな」
トウェインも言った。
「煖房は利いてへんと辛いわ」
「結構寒いとこの子も多いね、うちの学校」
「それでわし等もや」
「冬の室内はあったかいと嬉しい」
「煖房がんがん利かせてな」
「それがええわ」
「そや、それで冬の外国人の寮は煖房が利いてる」
リーはまた言った。
「八条学園ではな」
「そういうことやね」
「それ日本人の寮でもやで」
中里が言って来た。
「僕男子寮結構行くけどな」
「あったかいか」
「煖房かなり利いててな」
それでというのだ。
「そうなってるわ」
「そやの」
「多分女子寮もやで」
「あっ、確かに」
綾乃は言われて思い出した。
「うちの学校女子寮冬あったかいわ」
「そやな」
「炬燵もあって」
そのうえでというのだ。
「寮全体でヒーターがんがんや」
「そやな」
「夏は冷房で」
これを利かせてというのだ。
「そうしてやで」
「冬はやな」
「そうなってるで、外国人の娘の方も」
「ほんまそやないと暮らしていけん」
シェリルは真顔で言った。
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