インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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クラス代表就任パーティー
その日の昼休み、俺は調べ物をしていた。
(ISに関する資料って、いっぱいあるんだなぁ……)
そう思いながらIS学園の図書館に来ている俺の上から―――某小説みたいに空から女の子が降ってくるという謎が起こっていた。銃弾以外に落ちてくるとは思っていなかった俺はお姫様抱っこというやつでその子を受け止める。
その子は水色の髪に紅い瞳という珍しい容姿をしていた。
「大丈―――!!」
落ちてきた本を避け、一度降ろして本を拾う。
「大丈夫か?」
「う、うん………」
それにしても、可愛いな………。というか、
(どこかで見たことあるような………?)
まぁいいや。それよりも今は使える技能があるかどうかを探さないとな。
だが、向こうはそれを許してくれなかった。
「あ、あの……」
これが彼女が口に出した精一杯だろう。
「わ、私と……どこかで会ったことある……?」
「さ、さぁ………」
……何故だか知らないけど、この子にはあまり関わらない方がいい気がする。
「たぶんだけど、人違いだと思う………」
「そう。ごめん。変なこと聞いて……」
「あ、いや。別に……」
とりあえず別れたけど、何かまずいことでもあったか?
■■■
夜、俺は本音に連行されて『織斑一夏クラス代表就任パーティー』の準備に駆り出されていた。
「こら本音。つまみぐい禁止」
「えぇ~」
「つまみぐいならこっちにしなさい」
そう言って隣にいた鷹月を指す。
「……風宮君。私にお色気なんて求めたら殺すわよ」
「誰もそんなものを求めてない。以前友達(という名の傭兵)に同じネタをされたからやってみただけだ」
(((意味をわかってやっているわけじゃないよね、それ)))
何か失礼なことを言われた気がしたけど、気にせずに作業に没頭した。
そして始まったパーティーを、オルコットと篠ノ之に予定表を渡してそのままボイコットしたかった。
「かざみん、ダメだよ~。勝手に抜けちゃ~」
「いいんだよ。見世物は一夏だけで十分だ」
そう言って逃げようとすると、本音に抱きつかれた。
「だ~め~」
うっとおしい。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と風宮祐人君に特別インタビューしに来ました~!」
参加者は盛り上がるが、俺は抜けたい。
「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」
そして俺と一夏に名刺を渡し、
「ではではずばり織斑君! クラス代表になった感想を、どうぞ!」
「まあ、なんというか、がんばります」
「えー。もっといいコメントちょうだいよ~。俺に触るとヤケドするぜ、とか!」
「自分、不器用ですから」
「うわ、前時代的!」
どんぐりの背比べするなよ。
「じゃあまあ、適当に捏造しておくからいいとして」
「悪い方向でなければ容認しましょう」
「勝手に容認するな!」
俺が先輩に許可を出すと一夏に突っ込まれた。
「ああ、セシリアちゃんもコメントちょうだい」
この人、俺を最後にする気だな。
「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが、仕方ないですわね。コホン。ではまず、どうしてわたくしがクラス代表を辞退したかというと―――」
「ああ、長そうだから織斑君に惚れたからってことにしておくわ」
実はここの新聞部ってマトモな人間が居ない気がする。……俺も含めて。
「では次は圧倒的な火力でセシリアちゃんをねじ伏せた風宮君。クラス代表戦には出ずに倒したけど、これからはどうするつもり?」
「ISに関しての知識を蓄え、ISの性能を引き出せるために自分を鍛えつつ、一夏とオルコットを鍛えてようと思っています」
「え? どうして? セシリアちゃんは代表候補生よ?」
「オルコットは射撃の腕は高いですけど接近戦は性能差もあり俺や一夏には勝てないから接近戦を鍛えつつ射撃能力を基礎から。一夏は剣一本なのでこれからのことも考えてISでの特訓に加えて篠ノ之と生身で特訓してもらいます。あと知識面ですが、それはその二人をさっき名前を挙げた二人を省いたクラスメイトに手伝ってもらおうと思っています」
俺が思ったことを口にすると、篠ノ之とオルコットから抗議された。
あの後、何度かオルコットと模擬戦をしているが、
「オルコット、結局のところお前は俺に負けているだろ」
その言葉にオルコットは気まずそうに顔を背けた。
「それに篠ノ之、お前は朝に特訓できるんだからそれでいいだろうが」
その言葉には女子たちが賛成する。中には「同室じゃん」という声も。
「大体、思いを伝えられないヘタレが数増やして会おうなんて考えるな。それに―――一夏のは不治の病だ」
「え? 俺はこのとおりピンピンしてるぞ?」
「そういう話じゃない」
誰かこいつの頭をどうにかしてくれ。
「じゃあ、次は写真ね。織斑君とセシリアちゃん、そして風宮君は―――」
「あ、俺はパスで」
そう言ってその場から去ろうとしたが―――
「どうして!?」
「面倒以外に理由がいります?」
「ええ!? 今なお人気急上昇中なのに!?」
「まぁ、とりあえずこのジュースでも飲んで落ち着いてください」
オレンジジュースを渡すと、彼女は飲んで―――倒れそうになったところを受け止める。それなりに胸があるせいか腕に当たるが、そんなことはまったく気にならなかった。
「って、おいおい!? 毒なんか飲ませていいのかよ!?」
「違うぞ一夏。即効性の睡眠薬だ」
(((どうしてそんなのを持ってるの!?)))
俺はグラスを置いて彼女を抱きかかえたところで織斑先生が現れた。
「あ、織斑先生。黛先輩が寝てしまったので部屋の前に置いてくるので番号を教えてください」
「……確か、2490だ」
「ありがとうございます」
そして先輩とカメラをここに置いて、ドアをノックすると同時にダッシュで逃げた。
後ろから怪し気に見られているが―――今は敵意がないので見逃すことにする。
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