鬱陶しい兄
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第四章
「何でや阪神関係ないやろってな」
「言ってるわね」
「今もだよ」
「あのシリーズはね」
「悪夢だよ」
そこまでのものだというのだ。
「今だってな」
「夢に見るのよね」
「実際にな」
「そこまでのものね」
「ああ、それでな」
兄はさらに話した。
「二〇一四年はな」
「クライマックスで巨人に勝って」
「そして出たら」
「相手またホークスだったわね」
「親会社が代わってな」
ダイエーからソフトバンクにである。
「南海時代も戦ってな」
「三度目だったわね」
「その三度目の正直かと思ったら」
これがというのだ。
「最初勝ったよ」
「あと四連敗だったわね」
「そして止めにな」
まさにそれでというのだ。
「守備妨害でアウトでシリーズ終了」
「和田監督の抗議の横でホークス胴上げね」
「あれも酷かったよ」
寿は口をへの字にさせて述べた。
「思えばな」
「どれも凄い展開だったわね」
「ああ、それでもな」
妹に瞬時に強気モードになって語った。
「今年はな」
「優勝するのね」
「クライマックスも勝って」
そしてシリーズに出てというのだ。
「そしてな」
「そのうえでよね」
「ああ、シリーズでもな」
こちらでもというのだ。
「勝ってな」
「日本一ね」
「究極のアレをな」
まさにこれをというのだ。
「阪神は果たすぞ」
「そうなのね、しかしね」
妹は兄の話をここまで聞いてまた冷めた目になって言った。
「ここまでお話に付き合ったけれど」
「何だ」
「やっぱり今のお兄ちゃんうざいわ」
こう言うのだった。
「究極にね」
「究極か」
「鬱陶しいことこの上ないわ」
こうも言うのだった。
「正直ネットで書きまくるかね」
「自分のお部屋でか」
「行ってね、鬱陶しいから」
「だからお前もカープ優勝したらこうなるだろ」
「それはそれこれはこれよ」
自分のことはどうでもいいというのだ。
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