イベリス

「碌なことにならないんだよ」
「家族だったら本当に大変ですね」　
　咲もこのことはわかった。
「どう考えても」
「そうだろ」
「はい、ＤＶとか普通ですよね」
「こんな連中は自分より弱いと見たらな」
　腕力や立場がだ。
「平気で殴ったりしてくるんだよ」
「そうですよね」
「実際堀内はそうしたしな」
　川相氏へのそれの話もした。
「あいつだって巨人の若い選手にな」
「そうしたことしてましたね」
「それも公衆の面前でな」
　ファン感謝祭の時にだ。
「小田って選手いてな」
「今中日にいる」
「あの人に体当たりしたりしたんだよ」
「それって遊びでも」
「しないな、普通」
「そうですよね」
「あいつもそうした奴だよ、他にもな」
　この輩の話をさらにするのだった。
「奥さんに包丁持って襲い掛かったとかな」
「そんなこともあったんですか」
「捕まる前にな」
「ああ、捕まったあれが原因ですね」
「そんな話もあるからな」
「家族になったら暴力振るわれますね」
「暴力振るわれたらな」
　そうなると、というのだ。
「本当に大変だからな」
「それで、ですね」
「ああなったらな」
　それならというのだ。
「駄目でな、そしてな」
「家族になってもですね」
「駄目なんだよ」
　絶対にというのだ。
「本当にな」
「そうですよね、やっぱり」
「お嬢ちゃんも人を見る目をもってな」
「努力をしてああした人みたいにならない様にして」
「一緒にもな」
「ならないことですね」
「ああ」
　そうすべきだというのだ。
「絶対にな」
「そうします、何も学ばなくて成長してこそ」
　まさにとだ、咲は応えて言った。
「大人になれて幸せにもですね」
「なれるんだよ」
「そうですね」
「誰だってそうだからな」
「努力することですね」
「そうさ、そうしたら素敵な恋愛だってな」
　これもというのだ。