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X ーthe another storyー

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第三十六話 隻眼その八

「嫌な感じだ」
「ずっとそう感じていると辛くなって」
「そうしてだな」
「心も疲れるわ」
「実際俺もだったな」
「疲れていたわね」
「そうだった」
 神威もここで遠い目になった、そのうえで火煉に答えて話した。
「あの時はな」
「そうね、そしてそうした人はね」
「寂しさに苛まれて心が疲れるとか」
「悪いこともするわ」
「そうなのか」
「悪事は寂しい人が行う」
 火煉は遠い目になったまま話した。
「そうかも知れないわね」
「悪人がするものじゃないか」
「悪事を行うのが悪人なら」
 それならというと。
「悪人は寂しい人になるわね」
「そうなるか」
「ええ、ここにいる人達はいい人だけれど」  
 彼等を見て言ったのだった。
「皆寂しくないわね」
「それはないです」
 空汰が応えた。
「高野山におった時もで」
「今もか」
「ああ、全くな」
 神威に顔を向けて笑って話した。
「わいは寂しないで」
「そうか」
「ほんまな」
 こう言うのだった。
「そう感じたことはないわ」
「そうか」
「ああ、有り難いことにな」
「お前はいい奴だ、いい奴ということは」
「火煉さんが言われるにはな」
「寂しくないな」
「そうなるな」
 神威に笑って話した。
「わいも」
「そうだな」
「それでや」
 空汰はさらに言った。
「自分が心を開いてわいはほんまに嬉しい」
「そうか」
「ほんまな」
 こう言うのだった。
「天の龍になるまでそれを待ってたんや」
「俺が心を開いてか」
「本来の自分になるのをな」
 神威を見て言うのだった、空汰はそうしつつ周りを見て彼に対して暖かい声でさらに言ったのだった。
「そうしてな」
「この中に入るのをだな」
「そやった、地の龍になるかも知れんかったが」
 彼の選択次第でだ。
「それでもな」
「そうだったか」
「それでや」
 空汰はさらに話した。
「自分も今みたいになったらな」
「それならか」
「ほんまな」 
 笑顔のまま言うのだった。
「何よりや」
「そうですね、神威君がいてくれてです」
 征一狼も暖かい声で言うのだった。
「僕達も有り難いです」
「そうなのか」
「おそらくですが」
 こう前置きして言うのだった。 
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