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神々の塔

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第三十六話 円卓の騎士達その十三

「綾乃ちゃんの好きな鱈のムニエル頼もうか」
「ほなね」
「よくぞ勝った」
 ここでケイが笑って言って来た。
「我等の弱点よくぞ衝いた」
「いや、強い相手に勝とうと思いましたら」
 リーはケイにも応えて話した。
「やっぱり相手のことをよく知って」
「弱点を衝く、か」
「それが一番なので」
「そうしたんだな、その通りだよ」 
 ケイはここでも明るく言った。
「あんた達は賢い、その賢さを忘れないでな」
「そのうえで、ですね」
「さらに先にな」
「行くことですね」
「ああ、さらに上には我等が主もおられる」
「アーサー王も」
「あの方もな」
 こう言うのだった。
「だからな」
「その時もですね」
「頭を使ってな」 
 そうしてというのだ。
「やっていってくれよ」
「あの、ええんですか?」
 中里はケイの今の言葉を聞いて考える顔になり彼に尋ねた。
「アーサー王は貴方の義弟で主ですが」
「いやいや、この塔は人に神霊が試練を与えてな」
「力を授ける塔なので」
「だからな」
 それゆえにというのだ。
「あの方を倒してもな」
「ええですか」
「むしろな」
「倒すことをですか」
「あの方は望まれてるんだよ」
「そうですか」
「左様、ただあの方は強い」
 ケイはこのことは笑ったままだが強い声で言い切った。
「そのことは覚悟しておくんだ」
「そうですね、やっぱり」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「あの方と闘う時は注意するんだぞ」
「そうさせてもらいます」 
 芥川も確かな声で答えた。
「その時は」
「宜しくな、あとな」
「あと?何ですか?」
「塔はまだまだ長いからな」
 その先はとだ、ケイはこのことも話した。
「その長さにめげない様にな」
「そのことも大事ですね」
「長い、何時まであるんだって思ったらな」
 その時はというと。
「終わりだよ」
「負けですか」
「絶対に終わるってな」
「思うことですか」
「終わりなきものなんてないんだよ」
 絶対に、そうした言葉だった。
「どんなことだってな」
「何時かはですね」
「終わるさ、いいことも悪いことも試練もな」
 そのどれもがというのだ。 
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