ハッピークローバー
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第九十六話 ラッキーナンバーその八
「スペインだとね」
「レアルマドリードもあるし」
「ああ、私アンチだから」
スペインの娘は真面目な顔で答えた。
「レアルマドリード嫌いなの」
「どういった理由で?」
「昔の巨人みたいじゃない」
今では万年最下位の自称球界の盟主と、というのだ。かつてはこのチームも潤沢な資金力にものを言わせ他チームから選手を掠め取っていたのだ。
「あそこは」
「ああ、巨人ね」
一華もそう言われて頷いた。
「あそことね」
「似てるでしょ、あのチーム」
「そうね」
否定せずに答えた。
「本当に」
「だからよ」
「あんた巨人も嫌いなのね」
「野球は日本に来てから知ったけれど」
それでもというのだ。
「巨人見て思ったわ」
「レアルマドリードみたいだって」
「それで元々嫌いだったけれど」
レアルマドリードがというのだ。
「巨人を見て余計にね」
「嫌いになったの」
「相乗効果でね」
それでというのだ。
「そうなったのよ」
「そうなのね」
「しかも巨人今万年最下位でしょ」
「もう上に上がることはないわね」
一華はきっぱりと言い切った。
「最下位から」
「巨人がある限り」
「選手育てるノウハウも設備もないし」
「今や赤貧球団よね」
「昔カープをそう呼んで馬鹿にしてたけれど」
巨人信者達がだ。
「今じゃね」
「巨人の方がよね」
「赤貧でね」
資金がないというのだ。
「二軍の設備もオンボロでコーチもスタッフもね」
「いないのね」
「怪我人ばかり出て不祥事だって」
「しょっちゅうで」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「やる気もないし」
「いいところないわね」
「全くね」
まさに何一つ、というのだ。
「なくてね」
「それでよね」
「フロントも野球わかってないし」
「最下位のままね」
「ああなったらね」
それこそというのだ。
「どうしようもないわ」
「永遠の暗黒時代ね」
「暗黒千年王国とか言われてるわ」
キリスト教のそれの様なというのだ。
「今やね」
「二十年連続最下位よね」
「それもずっと勝率一割台でね」
「毎年百敗以上して」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「もうね」
「ずっと最下位ね」
「あのチームはね」
「正直ざまみろね、けれどレアルマドリードはね」
スペインの娘はまた嫌そうに話した。
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