要領のいい姉が
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第二章
「そうよ」
「だったらよくない?」
「志保ちゃんにもそうなら」
「それで皆お姉さんばかり贔屓しないなら」
「それならね」
「贔屓もされてないわ」
このこともだ、志保は思い出した。
「お父さんにもお母さんにも」
「親戚の人達にもよね」
「だったらよくない?」
「志保ちゃんが悪い目に遭ってないなら」
「それなら」
「そうなるかしら」
志保はこの時はこう思っただけだった、だが。
家に帰ってだ、おやつにしようとした時に。
「牛乳飲むでしょ」
「あっ、うん」
リビングから言ってきた姉に応えた。
「それ飲むわ」
「おやつ何食べるの?冷蔵庫にゼリーあるわ」
「じゃあゼリーね」
「出すわね」
「有り難う」
「ゼリーオレンジと桃があるけれど」
姉はさらに言ってきた。
「あんた桃好きでしょ」
「そっち食べていいの?」
「私はオレンジ好きだから」
それでというのだ。
「それじゃあね」
「そっちにするわね」
「それじゃあね」
「じゃあ一緒に食べましょう」
姉は妹が動くより先にだった。
動いて用意してくれて一緒に食べた、そこで姉がどんな人間か学校での親しい友人達との話を思い出したが。
後日親戚の集まりでだ、彼等が宴会をしながら自分達のことを話しているのを聞いた。
「天ちゃんも志保ちゃんもいい娘達だよな」
「天ちゃんが気が利いてよく動いてくれて」
「志保ちゃんは優しくていつも助けてくれる」
「いい娘達だよな」
「あんないい娘達いないな」
「全くだな」
こんなことを話していた。
「二人共あのままいったらいいな」
「きっと仏様みたいな娘になるぞ」
「どっちの娘もな」
「あんた達もいい娘達育てたな」
「本当にな」
宴会の中にいる二人の両親にも声をかけていた。
「あんないい娘達にするなんて」
「あんた達もよく教育したな」
「本当にいい娘達だよ」
「自慢だろ」
「うん、どっちの娘もね」
「私達の宝です」
両親も言った。
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