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X ーthe another storyー

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第三十五話 質問その十二

「君の身代わりにです」
「貴方の前に来て」
「そして僕が殺しました」
「そうでしたか」
「そして僕が君の元を去ったのは」
 このことも言うのだった。
「あの時言った通りですよ」
「そうですか」
「はい、そうです」
「ならです」
 昴流はここまで聞いて頷いた、そして。
 身構えてだ、星史郎にあらためていった。
「僕のすることは一つです」
「そうですか」
「行きます、そして貴方に」
「貴方にだと」 
 烏達が昴流の鳩の式神に倒され脅威が去った神威は護刃と共に昴流がいるビルの屋上に着地していた、そこで彼の言葉を聞いて言った。
「まずい」
「どうしたんですか?」
「駄目だ、昴流さん」
 神威は護刃に答えるより先にだった。
 前に出た、そして星史郎に向かおうとした。
「仲間は誰も死なせない、絶対にな」
「おや、君が僕の相手をしてくれますか」
「そうだ、俺が相手だ」
 神威は星史郎に彼に向かいながら答えた。
「いいな」
「いいでしょう、では君が僕の相手ということで」
「行くぞ」
「これは」
 昴流は今の状況を見て思い出した、あの時のことを。
 そしてだ、咄嗟にだった。
 自分と星史郎の間に割って入ろうとする神威の前に出た、そしてだった。
「神威君、いい!」
「いい!?」
「この人は僕が!」
 こう言ってだった、神威に背を向ける形で彼の前に出て止めようとした。だがそこに。
「星史郎さん!」
「危ないわ」
 撤退に移っていた封真と颯姫が咄嗟にだった。
 攻撃を放った、颯姫のそれは昴流も神威もかわしたが。
 封真の衝撃波が昴流の右目を撃った、そして。
「くっ!」
「昴流さん!」
「目が!」
 神威と護刃はその光景を見て叫んだ、見れば。
 彼の右目から血が流れていた、神威はそれを見て察した。
「右目を」
「大丈夫だよ」
 昴流はその目を右手で抑えつつ答えた。
「まだ左目があるから」
「だが」
「それにこうなる運命だから」 
 昴流はこうも言った。
「僕もね」
「同じですか、あの時と」
 星史郎はその昴流を見て呟いた。
「僕は左目、君は右目ですね」
「そうなりましたね」
「そうならなくてもよかったのですが」
「これはあの時に決まっていました」
 昴流はその星史郎に言った。
「ですから」
「君は満足ですか」
「はい、よかったと思っています」
「君はそう思っていても他の人達はどうでしょうか」 
 星史郎は神威と護刃、昴流に寄り添う二人を見て言った。
「果たして」
「それは」
「僕のことはいいんですよ」
 遠い目をした無表情になって言うのだった。 
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