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ふわりのリボン

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第一章

                ふわりのリボン
 ふわりにリボンを付けるとだ、彼女の飼い主である国崎家の主婦百合子は彼女に嬉しそうに言った。
「ピンクのリボンよく似合ってるわ」
「ワンッ」
「暫く付けてるわね」
 彼女の頭の左の部分に小さなそれを付けての言葉だった。
「そうしておくわね」
「それはいいけれどな」
 そんな彼女を見つつ一家の息子でラーメン屋で働いている洋介は言った。
「ふわりからはな」
「リボン見えないわよ」
「鏡見ないとな、それに」
 洋介はリボンを付けてもらって嬉しそうなふわりを見ながらさらに言った。
「ピンクだけれどな」
「ふわりってピンク似合うのよね」
「犬って色わからなかったな」
「色覚ないのよ」 
 母もそうだと答えた。
「実はね」
「そうだよな」
「白黒でしかね」
 犬はというのだ。
「ものが見えないのよ」
「哺乳類だと人と猿以外はそうだったな」
「猫だってね」
「それでピンクのリボン付けてもな」
「私達が見て可愛いからよ」
 母は息子に笑顔で答えた。
「いいのよ」
「この場合はか」
「そうよ」
「そうなんだな」
「こうした犬のお洒落はね」
「飼い主がどうかか」
「猫だってね、中にはね」
 母はこうも言った。
「それが嫌な子もいるわよ」
「飼い主のエゴだしな」
「そう、お洒落はね」
「犬や猫はありのままがいいってな」
「そうした子もいるわよ」
「インスタグラムの画像もだよな」
「そうよ」
 その通りという返事だった。 
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