神々の塔
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第三十六話 円卓の騎士達その七
「ハギスも」
「そやな」
「この様にです」
シェフはここではドヤ顔で述べた。
「ハギスもそしてイギリス料理も」
「ちゃんと調理したらか」
「美味しいのです」
こう言うのだった。
「これが」
「そうやな」
「それで私共はです」
「円卓の騎士さん達には」
「日々です」
まさにというのだ。
「美味しいものを食べて頂いています」
「そやねんな」
「お商事は質素な方々ですが」
「粗食でもやな」
「美味しいものをです」
「食べてもらってるか」
「左様です」
こう中里に話した。
「私共も」
「そうやねんな」
「質素、粗食であっても」
「美味しくやな」
「はい、それは可能ですね」
「粗食イコールまずいやないわ」
それは違うとだ、芥川も言ってきた。
「それはな」
「そうですね、それはまたですね」
「ちゃうわ。普通の食材や調味料でな」
「贅沢なメニューでなくとも」
「美味しくしてな」
「食べていいですね」
「むしろ敢えてまずいもん食べる」
芥川はさらに言った。
「そんなことの方がや」
「おかしいですね」
「そんな拷問みたいな考えはな」
それはというのだ。
「少なくとも僕にはや」
「ないですか」
「全くな」
それこそというのだ。
「ほんまな」
「左様ですね」
「インスタントラーメンでもな」
この世界にも存在している食品である。
「美味しくな」
「食べていいですね」
「そうや、何でや」
それこそというのだ。
「好き好んでまずいもの食うねん」
「そうしたお考えは駄目ですか」
「理解出来ん、お坊さんでもな」
禁欲を貴ぶことが多い神霊達に仕える者達でもというのだ、この世界でもそうした仕事にあるものは質素が求められるものだ。
「好き好んでな」
「美味しくないものを口にすることは」
「ないやろ」
「食べもの飲みものは残したらあかんで」
綾乃がそうした職業の一つである巫女として言ってきた。
「けど美味しくないもん食べなあかんとか」
「ありませんね」
「そら質素であるべきやけど」
神仏に仕える職業の者はというのだ。
「そやけど何で美味しくないものばかり食べなあかんか」
「紫様にしてもですか」
「わからんわ」
こうシェフに答えた。
「ほんまに」
「そうですか」
「大事なんは贅沢をせんで」
そしてというのだ。
「出されたものを残さず飲んで食べる」
「それがですか」
「大事やと思うで」
「左様ですか」
「うちとしては」
こう言うのだった。
「そやで」
「そうですか」
「そやから円卓の騎士さん達が美味しいもん食べても」
それでもというのだ。
「ええと思うで」
「質素でありですね」
「美味しいもんを」
「そうですか」
「例えばうちお酒好きやけど」
綾乃は今度は酒の話をした。
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