ハッピークローバー
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第九十五話 蚊に刺されないことその四
「蚊が少ないのもね」
「当然ね」
「蚊を食べる生きものが多くて」
その場にだ。
「あと建物を閉めていたら」
「少なくて当然ね」
「そうなるわ、けれど蚊に刺されないだけで」
「幸せよ」
「そうね」
タイの娘の言葉に頷いた。
「やっぱり」
「マラリアとかにもならないしね」
「痒くなくならないから」
「それだけで幸せよ」
「そうなのね」
「些細なことの様で」
それでいてというのだ。
「暑い場所や季節だとね」
「それだけで違うわね」
「そう思うわ、あと蚊帳ってね」
タイの娘はこの道具の話もした。
「私好きなのよ」
「そうなの」
「あの風情がね」
これがとかな恵に話した。
「好きなのよ」
「ううん、私蚊帳使ったことないのよね」
かな恵はタイの娘の言葉に困った顔で答えた。
「実は」
「そうなの」
「うち団地で高い場所にあって」
「蚊少ないの」
「そうだし蚊取り線香とか使うし」
蚊に対してはというのだ。
「お父さんとお母さんの実家も大阪だしね」
「ああ、都会だから」
「日本のね」
「蚊も少ないのね」
「それで蚊にはそういうのを使うから」
蚊取り線香やペープマットをというのだ、即ち蚊を防ぐのではなく直接退治するものをというのだ。
「それでね」
「蚊帳使ったことないの」
「今蚊帳ってないんじゃない?」
クラスメイトは首を傾げさせて言った。
「日本だと」
「そうなの」
「確か昭和の終わりでも」
この頃でもとだ、クラスメイトはタイの娘に話した。
「蚊帳って田舎でないとね」
「使ってなかったの」
「そうだったみたいよ」
「じゃあ今は」
「もうね」
それこそというのだ。
「蚊取り線香とかペープマットで」
「蚊を退治して」
「それでね」
「蚊を防いでるのね」
「そうよ、だから蚊帳は」
「使ってないの」
「だって蚊帳使っても」
そうしてもというのだ。
「下手したら蚊入るでしょ」
「そうそう、それね」
実際にとだ、タイの娘も話した。
「吊る時、出入りする時に油断したら」
「その中に入るわよね」
「だからそうした時は用心しないとね」
そうしなければというのだ。
「何の意味もないのよ」
「蚊帳ってそうよね」
「そうした造りよ」
まさにというのだ。
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