死んでも愛情を向ける猫達
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第二章
「深いのかもね」
「そうなんだ」
「お母さんそう思ったわ、じゃあここはね」
息子に今も父が出ている画面に顔を摺り寄せているティナを観つつ話した。
「好きな様にさせてあげましょう」
「それじゃあね」
息子も夫も頷いた、そしてその日はずっとパソコンの画面に父を出して三匹の好きな様にさせた。それからは父の日でなくても時々パソコンに父の動画を出すと彼等特にティナはそうしたのであった。
ネットでその話を聞いてだ、ニュージーランドウェリントンに住んでいる銀行員のリサ=グールド長い赤髪で青い目と彫のある細面で均整の取れたスタイルの彼女は自宅に来た友人に対して神妙な顔で話した。
「うちの子達もね」
「そういえばそうね」
友人は首輪にトビーとある白地に濃い鶯色の丸い模様が入っている雄猫と首輪にミンガとある白黒の八割れの雄猫を見て話した。
「あんたのお父さんの写真にね」
「よくお顔摺り寄せてるわね」
「お父さんに凄く懐いていたからね」
今は自分達の傍で寝転がっている猫達を見つつ話した。
「だから今もね」
「写真になのね」
「よくお顔摺り寄せてるの」
「それで愛情表現してるのね」
「猫がお顔摺り寄せてくるって」
その行為はというのだ。
「愛情表現よね」
「そう言う人もいるわね」
「自分の匂いマーキングさせてるとも言われてるけれど」
そうした説もあるがというのだ。
「私はね」
「愛情表現って考えてるのね」
「そうなの、私やお母さんにも懐いてるけれど」
同居している母にもというのだ。
「けれどね」
「それでもなの」
「そう、けれどね」
それでもというのだ。
「お父さんが一番で」
「それでなのね」
「今もね」
「写真に顔摺り寄せるのね」
「そうなの。この子達もね」
リサは友人に猫達を愛情に満ちた目を向けつつ話した。
「一緒よ。ブラジルの娘と」
「愛情を持ってるのね」
「亡くなった人に対してもね」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「それがわかるから」
「この子達の好きな様にさせてるのね」
「そうなの、いつもね」
こう言うのだった、そしてだった。
二匹の背中をそれぞれ撫でた、すると。
「ニャア」
「ウニャア」
二匹は愛想よく泣いて起き上がって彼女に顔を摺り寄せてきた、それを見た二人は二匹の愛情が彼女にも向けられていることがわかってまた笑顔になった。
死んでも愛情を向ける猫達 完
2023・9・17
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