ドリトル先生の落語
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第五幕その三
「不思議よね」
「文字は三種類だしね」
「平仮名、片仮名、漢字で」
チープサイドの家族は日本語の文字のお話をしました。
「アルファベットが出る時もあるし」
「多過ぎるよね」
「言語は呪文とか暗号だと言う人がいるけれど」
ホワイティはこう言いました。
「日本語は実際にそうだよね」
「もう言語の難しさを追い求めたんじゃないかしら」
ポリネシアは結構本気で思いました。
「その域よね」
「英語の方がずっと簡単だよ」
チーチーは断言しました。
「お話することも書くこともね」
「先生が苦労したのも当然だね」
「全くだね」
オシツオサレツは二つの頭で思って言いました。
「こんなに難しいから」
「僕達だって今も実感してるよ」
「その日本語を覚えて喋るだけでも大変なんだよ」
先生は一緒に食べている皆にお話しました。
「それで落語となるとね」
「その日本語を駆使する」
「それも縦横無尽に」
「そうして人を笑わせる」
「そんなお仕事だからね」
「日本人でも難しいのに」
それがというのです。
「日本語に生まれた時から親しんでいない人だとね」
「物凄く難しいね」
「一体どんな人かしら」
「興味持つよね」
「どうしても」
「僕達としてはね」
先生はまさにと答えました。
「そうなるね」
「全くだね」
「いや、普通にね」
「僕達としたら」
「イギリス生まれとしては」
「イギリス人が落語をしているとなると」
まさにというのです。
「そうなるね」
「そういえば」
王子はサラダを食べながら言いました。
「あの新聞記者が主人公の料理漫画でも」
「ああ、アメリカ人の落語家さんが出ていたね」
「時々」
「あの漫画は何もかもがおかしいからね」
「気にしなくていいですか」
「言ってること、肝心の食べもののことでもおかしなことばかりで」
それでとです、先生はトミーに答えました。
「それにね」
「さらにですね」
「政治的主張が多くて」
「その主張もおかしいですね」
「そしてキャラクターもね」
作品に出ている、というのです。
「おかしい人ばかりだし」
「本当に何もかもがおかしいので」
「もう読むとね」
それこそというのです。
「鵜呑みにしたらこっちもね」
「おかしくなりますね」
「そうなるから」
「読まない方がよくて」
「気にすることもね」
そうすることすらというのです。
「よくないよ」
「そういうことですね」
「あんな人に悪影響を与える作品はないから」
こうも言う先生でした。
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