Ｘ　ーｔｈｅ　ａｎｏｔｈｅｒ　ｓｔｏｒｙー

「見ていって考えていくわ」
「そうしていかれますか」
「この戦いが終わってもね」
「そうしていったらいいわ。貴女は確かに優秀よ」
　庚も認めることだった。
「とてもね。けれど人間について考えていったら」
「いいのね」
「そこから得られるものも多いから」
　だからだというのだ。
「これからもね」
「見て考えていくことね」
「そうよ」
「じゃあそうしていくわね」
「人間とは何か、か」
　封真は颯姫の言葉を聞いて彼も考えた、その上で言った。
「難しいな」
「そうですね、一口では言えないですね」
　遊人が応えた、そうしつつ今も飲んで食べている。
「どうにも」
「善と言えれば」
「悪とも言えます」
「どちらの面もあって」
「複雑ですね」
「いい面だけを見たいけれどな」
　草薙は残念そうに述べた。
「それは無理だしな」
「どうしてもですね」
「悪い面も見てしまうさ」
　人間のというのだ。
「人間の中にいるとな」
「同じ人間として」
「けれどな」
　それでもというのだ。
「どっちかの断定はな」
「難しいですね」
「どっちでもあるっていうのがな」
　これがというのだ。
「俺が今人間について言えることだな」
「そうですか」
「ああ、ただここにいる連中はな」
　封真に自分達即ち地の龍の面々のことを話した。
「悪い奴はいないな」
「そう言えますか」
「ああ、悪人っていうのはな」
　そう呼ばれる者達はというと。
「今話に出た通りにな」
「悪意を持っていますね」
「そうなんだよ、隠している場合もあるけれどな」
「それを持っていて動いていますね」
「そうなんだよ、強いそれをな」
　そうだというのだ。
「持ってるものだよ」
「悪とは何か」
　封真は人間が持っているそれについて考えもした、彼にとってもこれは非常に重要なものだと考えつつそうした。
「自分の為に誰かを利用して踏み躙る」
「それは悪って言っていいな」
　草薙はその通りだと答えた。
「もうな」
「そうですね」
「それで人間にはそんな面もあるさ」
「そうですね」
「それは事実だよ」
「では善は」
「自分を犠牲にして誰かを助けることかもな」
　そうすることがというのだ。
「悪とは逆にな」
「そうすることが善ですか」
「そうかもな」
「そうですか」
「それなら」
　颯姫は封真と星史郎の話をここまで聞いて言った。