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ハッピークローバー

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第九十四話 暦のうえでは秋だけれどその十二

「何度かです」
「地震で滅茶苦茶になってるわね」
「安政の大地震とか関東大震災とか」
「そうよね」
「どっちも歴史に残ってますしね」
「あれは怖いわ」
 先輩は真顔で言った。
「地震はね」
「起こって欲しくないですよね」
「何千何万もの人達が犠牲になるし」
 関東大震災でもそうだった、そして軍隊が救助活動にあたったのだ。それにより多くの人命が救われてもいる。
「あんな怖いものはね」
「ないですか」
「日本に来る時言われたし」
「地震が多いってですか」
「他の災害もね」
「台風とか津波とか洪水とか」
「もうあらゆる災害がね」
 自然のそれがというのだ。
「多いって聞かされたわ」
「それで怖かったですか」
「子供心にかなりね」
 そうだったというのだ。
「そうだったわ、それで日本の色々なことに期待して」
「不安もですね」
「抱えてね」
 そうしてというのだ。
「日本に来たのよ」
「そうだったんですね」
「いや、けれどね」
「けれど?」
「私がいる間神戸では大きな災害がなくてね」
 今自分達がいる街ではというのだ。
「よかったわ」
「そうですね、それは」
「日本は災害だけはね」
 どうしてもというのだった。
「嫌よ」
「外国の人皆言いますね」
「何でもいいってことはないわね」
「世の中は」
「日本の自然もね」
 これもというのだ。
「そうしたね」
「困ったことがありますか」
「ええ、けれど全部が全部いいってないでしょ」
 先輩はこうも言った。
「完璧ってのはね」
「何処か問題がありますね」
「だからトータルでね」
 いい部分も悪い部分も両方見てというのだ。
「それでね」
「見てですね」
「判断することだけれど」
「それでもですか」
「総合的に見てね」
「日本の自然はいいですか」
「幾ら災害が多くても」
 それでもというのだ。
「総合的に見てかなりね」
「いいですか」
「だからね」 
 それでというのだ。
「いいってね」
「判断していいですね」
「そう思うわ」
 こう言うのだった。
「私はね」
「それでその日本にいられたら」
「幸せよ」
「それだけで、ですね」
「そう、それだけでね」
 こう一華に言うのだった、そして一華はその言葉が頭に入った。部活の中で部活以外のことも知ったのだった。


第九十四話   完


                 2023・7・15 
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