仮面ライダー電王 約束の場所
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第三十三章
「俺どうしてここに」
「騒ぎを感じてここに来た」
その彼に牙王が説明する。彼はカイの横にいるのだ。
「そうだった」
「ああ、そうだったそうだった」
「わざとじゃないよね」
「そうだな。あれは本気だ」
相変わらず物忘れが激しいカイを見て探る顔になった良太郎に対して桜井が告げる。
「あの男は。あれが地だ」
「そう、やっぱり地だったんだ」
良太郎もそれを聞いて述べる。しかしだった。
「けれどどうして」
「何か俺ってそうなんだよ」
相変わらず軽い調子だった。カイなりの。
「どうにもこうにも物忘れが激しくてな」
「物忘れが激しいのは何故なんだ?前から気になっていたが」
牙王もそれは気になっていた。それをカイに対して問う。
「何でだろうな。俺もよくわからないんだ」
「御前はスサノオだぞ」
「そういえばそうだったか」
それについての自覚にも乏しいようだった。
「そんなの結構どうでもいいんだよな。ある程度は」
「どうでもいいわけはないだろう」
「いやさ、結局あれだろ?」
カイは言う。
「俺が特異点で本体がある牢獄への穴を時空から作り上げればいいわけだよな」
「その通りだ」
「まあそれは楽しみながらゆっくり探すとして」
そこまで語ったうえで良太郎達に顔を向ける。
「野上、また会ったな」
「君に会う為にここに来たんだ」
良太郎は真剣な顔でカイに答える。
「僕も侑斗も。君との最後の戦いの為に」
「今の言葉すっごいむかつくよ」
ニヤニヤと笑いながら良太郎に対して答える。
「俺今そういう顔してるだろ」
「ほお、それでどうするってんだよ」
モモタロスがその彼に対して問う。
「やるつもりか?じゃあ容赦はしねえぜ」
「といっても逃がすつもりもないけれどね」
ウラタロスが良太郎の眼鏡をなおしながら言う。
「ここまで来たらね」
「さあ、正真正銘の見せ場や!」
キンタロスは良太郎の顎に手を当ててゴキリ、と鳴らす動作をする。
「泣ける闘いの幕開けやで!」
「何かさあ、今までよく考えてなかったけれど」
リュウタロスは良太郎の首を左に傾けさせていた。
「カイの力が何時にも増しているね」
「さて、余の相手は決まっているか」
ジークは相変わらず良太郎の姿を借りても非常に偉そうである。
「楽しませてもらうぞ」
「皆、一人一体だ」
デネブは敵を見据えていた。見ればはぐれイマジン四体と牙王、それにカイだ。確かにデネブが桜井に憑依すればそうなる計算だった。
「力のうえでは互角だ」
「互角じゃねえおデブ!」
だが彼の今の言葉にモモタロスが反論する。
「こんな奴等俺一人で充分なんだよ!」
「いや、そうはいかないよ」
しかしその彼に対して良太郎が答える。
「どういうことだよ、良太郎」
「カイも牙王も手強いよ」
こうモモタロスに答える。
「だからモモタロス一人でなんてとても無理だよ」
「じゃあやっぱりあれかよ」
「そう、あれ」
良太郎は言う。
「皆で変身しよう、本当にね」
「わかったよ。じゃあ行くか」
「うん。皆いい?」
大勢いる自分自身ではなくイマジン達と桜井に対する言葉だった。
「皆でカイと牙王達を」
「ああ、勿論最初からそのつもりだ」
「よし、じゃあ侑斗」
デネブがまた桜井に声をかける。
「行くぞ、いきなりいくか」
「いや、まずはあれでいく」
しかし桜井はここでデネブを一旦止めた。
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