オズのカリフ王
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第四幕その八
「あの生きものもいたりするよ」
「あっ、キマイラ」
「キマイラもいるんですね」
「オズの国には」
「そうなんですね」
「ドラゴンもいて」
「そうだよ、それで今はね」
五人にさらにお話するのでした。
「ここに来ているんだよ」
「あれっ、ひょっとして」
ここで、でした。
キマイラの方からです、皆に気付いて言いました。
「トロット王女かな」
「ええ、そうよ」
トロットが微笑んで答えました。
「私がね」
「噂には聞いてたけれどはじめてお会いしたよ」
「そうなのね」
「うん、僕はキマイラのリチャードっていうけれど」
「それが貴方のお名前ね」
「そうだよ、この公園の近くの浮島の森で暮らしてるけれど」
「今日はこっちに来てなのね」
トロットも察して応えました。
「遊んでるのね」
「そうなんだ、まさか王女様にお会い出来るなんて」
キマイラは三つの頭それに尻尾の蛇を全部笑顔にさせて言いました。
「嬉しいよ」
「そうなのね」
「うん、今日ここに来てよかったよ」
「そう言ってくれて私も嬉しいわ」
「いや、あんた見てると」
つぎはぎ娘はキマイラに言ってきました。
「何でも出来そうね」
「どうしてそう思うのかな」
「だって四つの生きものの身体があるから」
だからだというのです。
「もうね」
「それでなんだ」
「何でも出来そうね」
「まあ何でも食べることは出来るよ」
「その四つの頭でなのね」
「お肉も草も食べられて」
そうしてというのです。
「最近はハンバーガーがマイブームだよ」
「へえ、そうなのね」
「アイスクリームとね」
「そちらもなのね」
「飲みものはコーラでね」
「ううむ、随分好みが人間的だのう」
ノーム王はキマイラのお話を聞いて思いました。
「ハンバーガーだのが好きとは」
「サラダはトマトをたっぷり入れてイタリアンドレッシングで」
「余計にそう思ったぞ」
食べるものの好みが人間的とです。
「今の話を聞いてな」
「そうなんだ」
「生肉やその辺りの草をとはいかんか」
「そういうのも好きだけれどね」
「それでもか」
「今はね」
「ハンバーガーにアイスにか」
「トマトをたっぷり入れたサラダに」
それにというのです。
「コーラだよ」
「そうなのじゃな」
「それで今日もね」
「そういったものを食べるか」
「そうだね、ダブルチーズバーガーに」
それにとです、キマイラは尻尾も合わせて四つの頭をにこにことさせてノーム王に対してお話しました。
「チョコアイスとね」
「トマトたっぷりのサラダか」
「ドレッシングはイタリアンで」
「今日のお昼はそれか」
「お弁当の木から頂いてね」
森の方を見て言います。
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