X ーthe another storyー
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第三十四話 外宴その十一
「ただな、誰かを守ってならな」
「悪いことではないですか」
「その人が傷付かなかっただろ」
「はい」
その通りだとだ、星史郎も答えたb。
「無事でした」
「そうだろ、そして誰かを守るってことはな」
草薙はさらに話した。
「あんたにその心があったからしたことでな」
「いいことですね」
「そうさ、人間として最高の行いの一つだよ」
「そうですか」
「あんたはどう思っていてもな」
それでもというのだ。
「身を挺して誰かを守るってのはそうなんだよ」
「人として最高の行いの一つですね」
「それをする相手もな」
今も星史郎の右目を見つつ言うのだった、その目は動かずかつ光がないことは変わってはいなかった。
「掛け替えのない相手なんだよ」
「僕にとって」
「自衛官はそれが仕事だからな」
誰かを守ることがというのだ。
「そうした訓練も受けてるしな」
「どなたも庇いますか」
「そうするさ、けれどそうした仕事に就いていないとな」
そうであるならというのだ。
「出来ないことでな」
「僕はですか」
「それが出来たからな」
「人間ですか」
「尊敬出来る位のな」
「大事な人を守った」
「そんなことは計算や演技で出来ないさ」
絶対に、そうした言葉だった。
「本当にな」
「そうですか」
「ああ、あんたは人間でな」
そしてというのだ。
「いい人だよ」
「僕がいい人ですか」
「人をちゃんと人として想えるな」
「ものとしか見えないと思いますが」
星史郎は自分自身のことを考えて答えた。
「それでもですか」
「俺は違うと思うぜ」
「そうですね、そんなことはそうは出来ません」
遊人も言ってきた。
「星史郎さんは立派ですよ」
「遊人さんもそう言われますか」
「何度でも」
にこりと笑っての言葉だった。
「その通りですから」
「だからですか」
「はい、では若し星史郎さんが危ないなら」
その時はというのだ。
「僕が助けさせてもらいます」
「僕もです」
哪吒も懸命な調子で言ってきた。
「その時は」
「そうしてくれますか」
「はい」
絶対にというのだ。
「そうさせてもらいます」
「有り難いですね、僕なんかの為に」
「なんかじゃないわ」
今度は庚が言ってきた。
「貴方はそうされるだけのことをしたのよ」
「人を助けたので」
「その結果右目がそうなったのなら」
それならというのだ。
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