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X ーthe another storyー

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第三十四話 外宴その五

 昴流はまたウヰスキーを飲んだ、そうして自分の中にあるものを洗い流していった。その彼の傍でだ。
 征一狼は娘の皿に焼いた肉を置いていた、そのうえで優しい笑顔で言うのだった。
「ではどんどんですよ」
「食べるのね」
「そうして下さい。何でも食べてです」
 見れば野菜も置いている。
「健康になって下さい」
「何でも食べるといいのね」
「そうです、好き嫌いなくです」
 そうしてというのだ。
「何でも沢山食べますと」
「健康になれるのね、私も」
「ですから」
 それでというのだ。
「是非です」
「うん、私食べるね」
「そうして下さい」
 父親の優しい顔で言っていた、そんな彼を見てだった。
 神威は自分も優しい笑顔になってだ、こんなことを言った。
「征一狼さんがわかるな」
「あの人はそうなんだ」
 玳透が神威に話した。
「誰よりも優しくて礼儀正しい」
「そんな人だな」
「暖かくてね。僕にもだよ」
 自分のことも話すのだった。
「いつも優しくて暖かくてね」
「礼儀正しいんだな」
「そうなんだ、だからね」
 そうした人だからだというのだ。
「僕の憧れで目標でもあるんだ」
「何時か征一狼さんみたいな人にか」
「なることが僕の夢だよ」
「なれる」
 神威は征一狼を見つつ語る玳透に答えた。
「必ずな」
「なれるかな」
「お前は誰よりも努力しているからな」
 だからだというのだ。
「征一狼さんみたいな人にな」
「なれるんだね」
「絶対にな」
「僕は天の龍じゃないけれど」
「そんなことは関係ない」
 神威は言い切った。
「お前がどうかだ」
「僕自身が」
「天の龍かどうかはこの戦いだけだ」
「この戦いが終われば」
「俺達も只の人間だ」 
 天の龍であってもというのだ。
「力がどうかということじゃないだろう」
「今僕が言っていることは」
「人間としてどうかだな」
「そうだよ」
 そう問われると、というのだ。
「征一狼さんの心を見てね」
「そうだな、それならな」
「人間としてだね」
「どうかだ。必ずだ」
 それこそというのだ。
「お前ならだ」
「なれるんだね」
「だからな」 
 それでというのだ。
「努力していくことだ、そうすればな」
「必ずだね」
「お前も征一狼の様になれる」
 こう言うのだった。
「間違いなくな」
「そう言ってくれるなら」
 玳透も笑顔で応えた。
「是非ね」
「そうなる様に努力していくよ」
「それならな」
「いや、玳透もいてくれてや」
 空汰も言って来た。 
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