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イベリス

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第百十五話 知りたいことその一

                第百十五話  知りたいこと
 速水と憎しみについての話をしてその中で相手をよく調べることの大事さも教えてもらったからだった。 
 咲は警官についても知らなけばと思った、それで彼が毎日来る喫茶店にだ。
 入ってそこでだ、マスターに尋ねた。
「いつも来られているお巡りさんですが」
「あの若くてイケメンのだね」
「はい、どういった人でしょうか」
「近所の交番の人なんだ」
「交番ですか」
「そこで勤務している人だよ」
「そうなんですね」
 咲は大事なことを聞いたと思いつつ応えた。
「あの人は」
「だから基本は」
「そこにおられるんですね」
「それでうちは渋谷にあるから」
 店の場所がというのだ。
「警察署は」
「渋谷署ですか」
「そうだよ」
 そちらだというのだ。
「あそこだよ」
「そうなんですね」
「ここは忙しいだろうな」  
 マスターは腕を組んでこうも言った。
「渋谷署は」
「人が多いし賑わってるので」
「色々な人もいるしな」
 だからだというのだ。
「新宿や原宿もそうだけれどな」
「渋谷もですね」
「そうだよ」
 こちらもというのだ。
「本当にな」
「事件も多いですね」
「何かとな」
 こうも言ったのだった。
「だからな」
「それで、ですね」
「そうさ、だからな」
 それでというのだ。
「あの人もな」
「お忙しいですね」
「そうだろうな」
「そうですか」
「人が多いと事件も多い」 
 マスターはこのことは残念そうに話した。
「それはな」
「仕方ないですね」
「ただ日本はな」
「治安がいいですね」
「ああ、まだな」
「世界的には」
「やっぱり治安がいいよ」
 こう言うのだった。
「悪くなったって言ってもな」
「それでもですね」
「他の国から見たらな」
「治安がよくて」
「その分平和だよ、けれどな」
「それでもですね」
「人が多いとな」
 そうした国でもというのだ。
「やっぱりな」
「事件もですね」
「多くなってな」
 そうしてというのだ。
「お巡りさんもな」
「忙しいですね」
「そうだよ」
 そうした状況でもというのだ。
「それは仕方ないさ」
「そうですね」
「人が多いことはいいことだよ」
 このこと自体はというのだ。 
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