イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百十四話 近付きたいその十二
「決してです」
「いいものにはならない」
「そうなのです」
「創作でも復讐鬼っていますけれど」
「何処かで立ち止まらないとですね」
「悲惨な末路を迎えています」
目にしてきた登場人物達を話した。
「戻らないと」
「そうしたものです、それがです」
「復讐ですね」
「誰かを。何かを憎むこともあります」
速水はこの現実も話した。
「人は。ですが」
「それに心を支配されてですね」
「復讐鬼になりますと」
そうなると、というのだ。
「そうなりますので」
「まず憎しみに心を支配されないことですね」
「復讐鬼は憎しみの為には手段も選びません」
「どんなことでもしてますね」
創作での彼等もとだ、咲も応えた。
「卑怯なこと残酷なことも」
「そうした行為は相手を傷付けるだけではありません」
「自分もですか」
「闇に堕としてしまいます」
「そうなりますか」
「だから危険なのです」
復讐鬼はというのだ。
「そうなることは」
「そうなんですね」
「憎しみは毒です」
「自分にとって」
「そうです」
まさにというのだ。
「自分自身を燃やし」
「蝕んでいく」
「そうしたものなので」
だからだというのだ。
「心を支配されてはです」
「駄目ですね」
「小山さんもです」
咲もというのだ。
「このことはです」
「注意しないと駄目ですね」
「はい」
こう言うのだった。
「それよりも好きになって愛したりもする」
「そうなる方がいいですね」
「絶対に」
「そうですね」
「恨みや憎しみ特にです」
「憎しみはですね」
「そうした感情なので」
咲の目を見て言うのだった。
「くれぐれもです」
「それに心を支配をされない様にして」
「生きて下さい、いいですね」
「絶対にそうなる様にしていきます」
咲も強い声で応えた。
「復讐鬼になりたくないですから」
「そうですね」
「創作でもいいキャラじゃないですから」
「偏執狂で、ですね」
「残酷で卑劣にもなっているので」
「心が蝕まれているからです」
だからだというのだ。
「そうなっていますし」
「それがやがてですね」
「自分を破滅させるものとです」
「知っておくことですね」
「そういうことです、このことはお願いします」
「憎しみには気を付けて」
「復讐鬼にならないことです」
「そうならない様にします」
ここでも強い声であった、そしてだった。
咲は憎しみの怖さについても心に刻んだ、そのうえでこの日も日々を過ごして生きていったのであった。
第百十四話 完
2023・6・8
ページ上へ戻る