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神々の塔

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第三十三話 アウトローの者達その十一

 中里は忠治がにやりと笑った時の彼の目の高さでの左から右への一閃を両手にそれぞれ一本持っている刀を交差させて防いだ、神霊の一撃は強く彼としても防ぎきれずダメージを受けたが。
 忠治の動きを止めた、そこに一行は集中攻撃を浴びせた、彼が攻撃系の術を放った時も同じ様にしてだった。
 そうして ダメージを与えていき遂にだった。
「参った、俺の負けだ」
「そうですか」
「ああ、認めるさ」
 中里に笑って答えた。
「もう戦えねえさ」
「ほなそれで、ですね」
「おめえさん達の勝ちさ、先に行きな」
「ほな」
「健闘を祈るぜ」
 忠治は笑ってこうも言った。
「おめえさん達のな」
「有り難うございます」
「じゃあ次にここに来る奴と会うまでな」
 忠治は今度はこんなことを言った。
「ここで休むな」
「そうしますか」
「ああ、仲間達と博打や勝負を楽しみながらな」 
 そのうえでというのだ。
「そうするさ」
「何か博打っていいますと」
 綾乃は忠治が楽しそうに言ったそのことから話した。
「如何にもですね」
「ヤクザ者の遊びだろ」
「そうですね」
「俺もここにいる連中も皆な」
「ギャンブル好きですか」
「ああ」
 実際にというのだ。
「そうなんだよ」
「やっぱりそうですね」
「俺達と博打はな」 
「切っても切れへんですね」
「自分がやるだけじゃなくてな」 
 それだけでなくというのだ。
「親にもなるさ」
「胴元ですね」
「これが儲かるんだよ」 
 忠治はにかっと笑って言った。
「またな」
「そうですか」
「ああ、何ならお前さん達もどうだ」
 綾乃に笑って誘いをかけた。
「博打をやってな」
「胴元にもですか」
「なってみるかい?」
「ああ、星の子にはギャンブラーもいまして」
 綾乃は彼等のことを思い出しつつ忠治に話した。
「それで政府としてもです」
「博打の親やってるんだな」
「そやけどそれは管理で」
 それでというのだ。
「やってます」
「博打のかよ」
「政府がやりまして」
 博打を興行してというのだ。
「管轄してです」
「俺達みたいなならず者が稼いでか」
「力持たへん様にして」
 そしてというのだ。
「そうしてやり過ぎて破産する様な人にはさせん様にして」
「救済策でもあるんだな」
「はい、そうしてます」
「それでも闇賭博はあります」 
 リーは連合のその実情も話した。
「それで取り締まってます」
「真面目にやってるんだな」
「はい」
「おかみとしてはいいな」
 忠治は綾乃とリーの言葉をここまで聞いて笑顔でよしとした、そのうえで二人に対してこう言ったのだった。
「いいぜ、じゃあそのおかみとしてな」
「これからもですか」
「ギャンブルのことをですか」
「やっていきなよ、じゃあ俺達に勝ったんだからな」
 それでというのだ。
「先に行ってくれよ」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
 二人は一行を代表して応えた、そうしてだった。
 侠客の神霊達にも勝った彼等はさらに先にと進んでいった、塔はまだまだ先があり一行はさらに進むのだった。


第三十三話   完


                  2023・7・7 
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