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イベリス

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第百十四話 近付きたいその五

「この東京にある」
「ずっと最下位なのに」
「悪はそのままで」
「スポーツマンシップもですね」
「欠片もありません」
 巨人にはというのだ。
「ああなってはです」
「いけないですね」
「巨人は反面教師にして」
 そしてというのだ。
「そうしてです」
「イギリスをお手本にすべきですね」
「そうです、小山さんはヤクルトファンですね」
「はい」
 咲はその通りだと答えた。
「私は」
「あのチームにはスポーツマンシップがあるので」
「いいですね」
「これからもヤクルトを応援されることです」
「いいチームですよね」
「私もそう思います、全く以てです」
「巨人にはですね」
 咲もこう返した。
「スポーツマンシップなんてなくて」
「あの様になってはです」
「スポーツをしても意味がないですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「弱い以前にです」
「そのことが問題ですね」
「巨人というチームは」
「そうなんですね」
「そもそもです」
 速水はさらに話した。
「悪太郎という言葉がありまして」
「悪太郎ですか」
「これは九連覇した時のエースだった堀内恒夫の仇名です」
「あの酷い監督ですか」
「この輩は才能はあったのですが」
 野球のそれはだ。
「態度も発言もです」
「悪かったんですか」
「荒れていたロッカールームの中を整理していた人をです」
 その選手をというのだ。
「有無を言わさず後ろから飛び蹴りを浴びせ」
「いきなりですか」
「何をしていたかも聞かず」
 その選手がロッカーを荒らしたと思い込んでだ。
「そしてその後何度も殴りつけた」
「酷い暴力ですね」
「二十一世紀のことですが」
「そんな昔のことじゃないですね」
「昭和でもです」
 暴力が今より肯定されていた頃でもというのだ。
「何をしているとも聞かずです」
「いきなり後ろから飛び蹴りですか」
「それから何度も殴ればです」
「問題ですよね」
「はい、それを行う様な」
 そうしたというのだ。
「暴力的な輩でして」
「態度も発言もですか」
「非常に悪く」
 それでというのだ。
「そんな風でした」
「全然紳士じゃないですね」
「巨人は清原和博以降おかしくなったといいますが」
「もうですね」
「こうした輩が大手を振って歩いていたのです」
「その頃でもう紳士じゃなかったんですね」
「尚この選手は引退後巨人のコーチに就任する予定でしたが」 
 それがというのだ。 
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