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X ーthe another storyー

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第三十二話 死神その十一

「今あの人は眠っているから話すけれど」
「見ることも聞くことも出来ないから」
「話すけれど」
「あの人が本当の敵だね」
「あの人は真逆でね」
「本来の人とね」
「邪悪でこの世の全てを憎み怨んでいて」
 そうしてというのだ。
「流石に地球を滅ぼせなくても」
「人間をだね」
「そう考えているよ、龍はどういった存在か」
 牙暁はこのことも話した。
「護る存在だよ」
「それぞれをね」
「人間でも地球でも」
 その違いはあれどというのだ。
「世界をね」
「護るのが龍だね」
「けれどあの人は違うよ」
 彼女はというのだ。
「世界を怨み憎んでいて」
「人間を滅ぼして」
「地球にある自然もだよ」 
 その表面にあるというのだ。
「地の龍が護ろうとしている」
「それも滅ぼすね」
「そう考えているから」
 だからだというのだ。
「僕達の本当の敵は」
「あの人だよね」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
「そのことに北斗さんも気付いたんだ」
「うん、遅かったかな」
「遅くはないよ」 
 牙暁は目を開き微笑んで答えた。
「まだ気付いているのはね」
「私達だけね」
「僕と北斗さんと庚と」
「本来のあの人だけ」
「四人だけだよ」
 今はというのだ。
「そしてまだ戦いははじまったばかりだから」
「遅くないのね」
「むしろ早いよ」
 遅いどころかというのだ。
「そう思うよ」
「そうなんだ」
「じゃあこれからは」
「あと少しの間ね」
 戦いが終わるまではというのだ。
「ここにいるね」
「そして最後まで見届けて」
「それからあっちの世界に行くね」
 牙暁に両手を腰の後ろで指と指を絡み合わせt3組んで首を少し右にやって優しい微笑みで以て話した。
「そうするね」
「いい結末を見届けてかな」
「そうだよ、私信じてるから」
「この戦いはいい結末になる」
「きっとね」
「希望を持っているんだね」
「そうだよ、そうなるから」
 だからだというのだ。
「私はね」
「最後までだね」
「見るよ、少なくとも封真君は彼のままだから」
「そのことが大きいね」
「若し彼が心を失っていたら」
 彼本来のそれをというのだ。 
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