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デストロイヤー博士の発明日記

作者:パスコ
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第1話 異世界転生一日目





私の名前は南蜘蛛長介。


ほしいゲームを買うために長距離の外出し目的の物を手に入れた帰りに柄にもなくトラックに轢かれそうになっている人を助けをしてしまい、その代わりに死んでしまった。親孝行もロクにせず死んでしまい家族には悪いことをしたなと思った。もしも、今の記憶と気持ちが次の人生でもあるならば本気頑張ってみたいと思いながら死んだ。


そんなことを思いながら死んだせいなのか、私が死んだ後、宇宙を連想させる模様の部屋で美しい女神と出会った。そこで女神に魔王を討伐してくれとお願いをされた。魔王を討伐してくれとお願いされても一般人で生前では学歴は一流大学は卒業しているが、そこそこの成績での卒業だったしな…。


生前、大学卒業後は会社のエンジニアの社員として就職したが、そこがなかなかにブラックな職場だった。高専校と大学の理工学部、趣味で身に着けた電気系統の工作技術とプログラミングのスキルを面接のときに紹介したのが仇となったのか、製品開発のブラックな環境に送られた。まさか、あそこまで過重労働だとは思わなかった。エンジニアの仕事はブラックだとは知っていた気になっていたが、それは知識と学生レベル、趣味レベルのものに過ぎず社会のそれは別次元のものだった。営業の素人連中は科学者・技術者の仕事がいかに苦労するものかも知らず、次々と実際に作っているエンジニアの社員たちの限界を見極めず仕事を取ってきて、それを押し付けてくるのだ。


社長も営業型の人間だったのが最悪だった…。実際に作っている人間よりも、それを上手く紹介して良い契約内容で仕事を取ってこれる人間を重宝していた。エンジニアのことは雑に扱った。いや、ブラックだと愚痴を零したが、私はまだ雑に扱われる技術系社員の中でもマシな扱いだったかもしれない…。営業の人間たちは学歴至上主義者に近い質で私はオタクではあるがコミュニケーション能力はそこそこ高い事と高学歴だった為か、話は他の実力はあるけど学歴が自慢できない社員たちよりかは比較的まともに聞いてもらえるほうだったので、グレーに近いブラック企業の社員くらいには休みをもらえた。私が所属している部署の同僚からは怨嗟の目で見られることはあったのは仕方がないことだった。


こんな職場環境を経験したので、営業部のほうへ転属してエンジニアの社員たちを守ろうと考えた。自分はエンジニアだった経験があるので限界を見極めて無茶な仕事を押し付けない、職場環境の改善を図れる自信があった。しかし上手くいかなかった。自分はそういうことはしないけどほかの営業部の社員連中も自分と同じように自社の限界を考えて仕事を取ってくるような真似ができなかったので、自分で判断がつかないのならば依頼内容を一旦持ち帰って弊社のエンジニアたちにできるかどうかを相談してから契約を取ればよいものを、相談もせずに独断で取ってくるのだ。『報・連・相』は営業部・社長の中だけの話なのかと叫びたくなった。


こういった問題を何とかしたくとも自分はそこまで偉い地位に就いているわけではなく、それを訴えても営業の連中は耳を貸さないし、私を目障りな存在だと敵視してくるしで嫌になってきた。そして働くのが嫌になり仕事を辞めて無職のニートのオタクとなってしまったのだ。ただ辞めるだけでは面白くないので、弊社のブラックな労働環境の部分を労基署に告発してやったことで会社は大騒動になったが、ざまぁ。


こんな感じで家族に迷惑をかけたマダオである自分にそんなことできる自信は全くなかったので、最初は断ったのだが、美しい女神はどんな神器・能力・才能も与えるといわれ、この話を受けることにした。


私が選んだモノは『自身が望んだモノを創造する能力』だ。


この力は自分が想像できるものは何でも創造できるが、無から有を生み出すような真似はできる土・石・砂・水・埃・ゴミ・木屑などの適当な材料が必要となる。神の力で生まれたチート能力ということもあり僅かな対価(材料)から『等価交換の原則』を無視した莫大な創造ができる。使いこなせば世界征服も可能そうだが、制約もあり想像力がしっかりしなければ道具にしろ、能力にしろ、才能にしろ、生物にしろ、魔物にしろ、神物(神獣)にしろ、ポンコツしか生まれない…。


前世では、学歴自慢できるくらいの大学の出で科学者端くれだった時期があり、オタク、マニアでもあり学力(知識)・雑学には一般人よりも自信はあるほうだ…。


女神が今まで送ってきた転生者たちは小学生・中学生・高校生と成人は送ったことはなく大学卒業どころか就職経験があるアラサーのヒキニートを送るのは初めてらしい、さすがにヒキニート呼ばわりに関してはイラッときたが、ここで文句を言えば機嫌を損ねてしまって特典をもらえず本当に裸一貫で転生させられかねないので我慢した。


知識を基に色々と創造したがしっくりくるものがない、自身の知見の浅さを思い知らされる。自身に不足しているものを補うためには成長する必要がある。


そういえば、どこかの偉人が発した言葉に『賢者は歴史(データ)から学ぶ』『愚者は経験から学ぶ』『経験に勝る知識なし』なんてものがあったな


私は成長するために、色々な知識・経験・技術が身につくといわれる【冒険者】になることにした…。


冒険者になるには冒険者ギルドへ行き手続きをする必要がある、街に行けば大抵あると女神に説明されていたので、まずは近場の街を目指すことにした。


途中で腹が減ってもチート能力で雑草を食物に変えたり、泥水を極上の清水に変えることもできるので全然心配がないと言いたいが魔物に見つからないか不安があるが、転生者たちは最も安全な地域からスタートさせているらしいので多分大丈夫だろう。


そして、私は冒険者ギルドがある街へ向かった!

 
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