イベリス
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第百十三話 本格的な秋その十三
「一切ね」
「いいところないわね」
「何かいいところあるって」
その様にというのだ。
「この人を褒める人がいたら」
「言いたい?」
「本当にね」
そうだというのだ。
「私思うわ」
「それ言うと私もね」
同級生もそれはと答えた。
「咲っちと同じ考えよ」
「そうよね」
「最低過ぎてね」
「いいところないわね」
「全くね」
それこそというのだ。
「見られないわ」
「そうよね」
「本当に生きていてね」
ただそうしているだけでというのだ。
「害にしかね」
「ならない人よね」
「ええ」
そうだと答えた。
「どう見てもね」
「そうよね、犯罪は犯さなくても」
「害よね」
「生きているだけでね」
「寄生虫よね」
同級生はこうも言った。
「その人何かっていうと」
「それになるわよね」
「生き方がね」
「奥さんに食べさせてもらって」
「人からお金嘘吐いてまで貰って」
「天理教でお世話になって」
「それで生活保護なんて」
そうしたものを貰ってというのだ。
「働かないで誰かの為に何もしないで生きるって」
「寄生虫ね」
咲もそれはと頷いた。
「まさに」
「そうよね」
「ダニとかシラミとか」
「そんな風な人よね」
「本当に生きていて」
この世にというのだ。
「何もね」
「役に立たなくて」
「害にしかならない」
そうしたというのだ。
「そんな人よ」
「いや、最低最悪よね」
「どう見てもね」
「何のために生きているのかね」
同級生は眉を顰めさせて言った。
「わからないわね」
「生きているだけでいいっていうのは」
咲はふと思って言った。
「ほら、太宰の小説であったでしょ」
「太宰治ね」
「ヴィヨンの妻でね」
彼のこの作品でというのだ。
「生きていればそれだけでいいっていう様な」
「そんな言葉あったの」
「最後の一文というか台詞がね」
「そんな風だったの」
「主人公の人が言うのよ」
大谷という作家の妻である、尚この大谷のモデルは太宰自身であることは読んでいくとわかることである。
「そうね」
「何か太宰ってね」
同級生もここで太宰のことを言った。
「最後の一文とか台詞がね」
「印象的よね」
「そうだけれど」
「この作品もでね」
「最後そう言うのね」
「そうなの、それでね」
同級生にさらに話した。
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