オズのカリフ王
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第二幕その九
「それじゃあね」
「行って来る」
「そうして来るぞ」
二人でオズマに応えてでした。
そのうえで出発します、飛行船は歴訪に参加する人達を乗せてドアを閉めてでした。
お空に飛び立ちました、そのうえでドロシー達の手を振っての一時の別れの自分達も窓から手を振って応えてです。
お互い姿が見えなくなるまで振り合いました、その後で。
ノーム王は下を見てこんなことを言いました。今飛行船の中は三百六十度モニターになっていて宙に浮かんでいる様にお空が見えます。
「ううむ、嘘の様だ」
「全くだな」
ドワーフ王も完全に同意でした。
「わし等が空にいるなぞな」
「いや、これまでな」
「全くだな」
「想像も出来なかった」
「そうだ、こんなものはな」
全くと言うのでした。
「これまでな」
「それがだ」
「こうして宙にいるなぞ」
「これだけでも信じられん」
「しかもこの景色はどうだ」
「そうだ、それだ」
まさにとです、ノーム王はドワーフ王に言いました。他のノームやドワーフの人達も驚いています。
「下に広大に拡がる地上にだ」
「前後左右には水平線」
「上には何処までも続く空」
「こんな景色は見たことがない」
「これが空か」
「そうなのだな」
「その通りだよ」
キャプテンが驚く二人に言ってきました。
「これこそがな」
「空だな」
「そうなのだな」
「そうだよ、空はこんなものだよ」
まさにというのです。
「空を飛ぶということだよ」
「いや、魔法の様だ」
腕を組んで、です、ノーム王は言いました。
「これは」
「確かに魔法の技術も使われているよ、しかし」
「飛行船はだな」
「科学だよ」
こちらの技術だというのです。
「わし等が今乗っている飛行船はね」
「そちらの技術か」
「それで乗っていてね」
そうしてというのです。
「景色もだよ」
「楽しめるんだな」
「そうだよ」
まさにというのです。
「科学でね」
「成程な」
「これからずっとだよ」
「こうして空を見られるか」
「歴訪の間ね」
「それはいいな」
「オズの国の空を」
そちらをというのです。
「堪能出来るよ」
「それは何よりだ」
「おお、鳥だ」
ドワーフ王は飛行船の横を飛ぶ鴈の群れを指差しました、見れば先頭の鴈を軸にデルタ型の陣形を組んで飛んでいます。
「空を飛ぶ鳥だ」
「何と見事か」
ノーム王はカリフ王に言われてそちらも見て驚きました。
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