X ーthe another storyー
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第三十二話 死神その二
「最初から会うとはな」
「思わなかったな」
「全くだ」
「神威、俺は戦う」
封真は神威を見据え彼に強い声で告げた。
「それがだ」
「お前の選んだ道だな」
「そしてお前を連れ戻す」
「小鳥と一緒にか」
「俺の方にな」
「俺も同じだ」
神威も封真に告げた。
「お前を必ずだ」
「連れ戻すか」
「俺の方にな」
「そうする為にだな」
「俺は戦う、ではだ」
「これからだな」
「お前と戦う」
神威はこう言ってだった。
ボクシングの様な構えを取った、対する封真は空手の様なものだった。
二人がそうする横でだ、星史郎は自分の前に立つ青年を見た。すると青年の方から彼に言って来た。
「星史郎さん・・・・・・」
「久し振りですね、昴流君」
星史郎は微笑み彼に話した。
「お元気そうですね、そして」
「そして?」
「立派になりましたね」
優しい笑顔での言葉だった。
「お会いしないうちに」
「そう言ってくれますか」
「はい、そして可愛いですね」
「可愛い、僕が」
「あの時のまま」
こうも言うのだった。
「変わっていないところもあり何よりです」
「そうですか」
「煙草の匂いがします」
星史郎はこんなことも言った。
「喫煙されていますか」
「はい、今は」
「僕もですよ、煙草も吸われるとは」
星史郎は言葉を続けた。
「大人になりましたね」
「年齢は重ねました」
「そして陰陽術もですね」
「あの時より強くなったつもりです」
「そうですね、では」
「星史郎さん、貴方は」
「ご存知の通りですよ」
これが星史郎の返事だった。
「北斗さんはです」
「そうですか」
「そして君は今ここにいます」
「そういうことですね」
「はい、でははじめますか」
「どうしてもですね」
「折角こうして再会したのです」
だからだというのだ、星史郎は右から吹いてきた風にコートをたなびかせつつそのうえで昴流に話した。
「それでは」
「僕は貴方のことを」
だが、だった。
昴流は星史郎が札を出したのを見て彼もそうせざるを得なかった、既に神威と封真は力を溜めて戦いをはじめようとしていた。
だがここでだった。
玳透が空を駆けて双方の間に降り立ってだ、こう言ってきた。
「神威、昴流さん、丁様が」
「姫様がか」
「そうだ、お呼びだ」
こう言うのだった。
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