イベリス
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第百十三話 本格的な秋その七
「思えるわ」
「そうなのね」
「咲も結婚してね」
そうしてというのだ。
「子供が出来たらね」
「わかるのね」
「きっとね」
そうだというのだ。
「そうなるわ」
「そうなのね」
「結婚してね」
母はさらに話した。
「子供が出来て育てると」
「そうしたこともわかるの」
「世の中の色々なことがね」
「結婚して子供が出来て育てたら」
「もう色々なことがよ」
今わしておる言葉だけでなくというのだ。
「とても大きな色々なことがね」
「わかっていくのね」
「そうなのよ、まあ独身でもそうだと思うわ」
「結婚しなくても」
「色々人生の経験を積めばね」
「わかるのね」
「逆に結婚しても」
それでもというのだ。
「何もしない様だとよ」
「わからないのね」
「そうよ、ただお母さんとしては」
「私も結婚した方がいいのね」
「そうしたらね」
それでというのだ。
「とても大切なことが色々とね」
「わかるのね」
「そうなるから」
「結婚することね」
「それで子供を産んで育ててね」
「夢みたいなお話だけれどね」
「今の咲だとそうね」
「結婚どころか高校を卒業することも」
それだけのこともという口調での言葉だった、咲はそのことを考えてそのうえでこうも言ったのだった。
「とてもね」
「考えてられないわね」
「ええ、結婚なんて」
「今はそうでもよ」
母はそう言う娘ににこりと笑って話した。
「高校を卒業してね」
「大学も入学して」
「それで大学も卒業してね」
そしてというのだ。
「就職してね」
「それから結婚ね」
「そこまでならないとよ」
「実感出来ないのね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「そうした時が来たらね」
「わかるのね」
「実感出来て」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「だからなのね」
「そうよ、まあその時に備えて」
「今はなのね」
「色々やっていってね」
「それで人生を学ぶのね」
「そうしてね、じゃあ喫茶店もね」
こちらもというのだ。
「行って来てね」
「そうするわ」
咲は笑顔で言ってだった。
連休中もアルバイトに行き喫茶店も行くことにした、そしてその喫茶店で会う警官のことを考えてだった。
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