ドリトル先生の落語
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第二幕その五
「どうにもならなくなっても気に掛ける人は結構いたんだ」
「自称野球通の落語家さんと違って」
「そうした人がいたんだ」
「大変な時も」
「元相方の人も密かにご家族を援助していたそうだし」
そうしたこともあったというのです。
「やっぱりね」
「破滅型の人でも」
「気に掛ける人達がいてくれて」
「助ける人達もいたんだ」
「そうだったのね」
「あの人もね、残念ながらお酒で若くしてだったけれど」
五十歳で世を去ってしまったけれどというのです。
「そうした人だったんだ」
「そう思うと残念だね」
「尚更ね」
「問題を起こさなかったら」
「そう思うよ」
「僕もだよ、けれど破天荒でない横山やすしさんは」
それはといいますと。
「ちょっと想像つかないしね」
「そう言われるとね」
「確かにそうだよね」
「無茶苦茶じゃない横山やすしさんって」
「どうもね」
「あの人は演じたところがあるしね」
こうもです、先生は言いました。
「横山やすしという漫才師をね」
「本名は違いましたね」
「そうだよ、あの芸名を貰ってね」
トミーに答えて言いました。
「それでね」
「横山やすしになったんですね」
「それでね」
「それからはですね」
「横山やすしとして生きていて」
「横山やすしを演じて」
「それでね」
そのうえでというのです。
「ああしたね」
「破天荒な人になったんですね」
「そうした人を演じていたんだよ」
「そうだったんですね」
「素顔はね」
芸名のそのお名前を離れると、というのです。
「小心だったそうだよ」
「意外だね」
「そうだね」
「お話を聞いてるとね」
「随分喧嘩っぱやいところもあって」
「強気な感じだけれど」
「矢鱈と喧嘩っぱやかったこともね」
先生はこちらのお話もするのでした。
「本当に強い人は喧嘩しないね」
「ああ、余裕があってね」
「心にね」
「それに暴力の酷さを知っていて」
「喧嘩はしないね」
「暴力教師を見ればわかるね」
日本によく見られる最低な人達のお話もしました。
「何故生徒をいつも殴って蹴って罵るのか」
「生徒って子供だしね」
「まだほんのね」
「大人である先生と比べて身体小さいし」
「力もないしね」
「格闘技をしていてもまだまだ未熟だし」
「それに先生と生徒じゃ立場が圧倒的に違うね」
先生はこのこともお話しました。
「そうだとね」
「反抗どころか意見も言えないね」
「中々ね」
「教える立場と教えられる立場」
「先生に権力があるね」
「それも生徒から見れば絶対の」
「そんな圧倒的に有利な状況があるからだよ」
先生は皆に非常に否定的にお話しました。
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