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X ーthe another storyー

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第三十一話 墓参その十六

「誰かを守って一緒に生きる」
「俺の様にか」
「貴方を見て思ったわ」 
 こう言うのだった。
「それが一番いいって」
「俺はあの時は」
「何も出来なかったっていうのね」
「封真が退いたからな」
「けれど守ろうとしたわ」
 嵐が言うのはこのことだった。
「動けなくても必死に」
「鎖を断ち切ろうとしてか」
「それを見たから今思うわ」
「誰かを守ってか」
「死ぬんじゃなくて」
 空汰を見て彼が語ったその運命を思って話した。
「生きることよ」
「一緒にか」
「守られても残されたら」
 その守った人が犠牲になってというのだ。
「どんな思いをするか」
「はい、私も神威ちゃんに何かあったら」
 小鳥も嵐の言葉を聞いて言った。
「心配です、そして私だけなんて」
「嫌よね」
「はい、絶対に」
「そうよ、だから誰もね」
「死なせないですね」
「私は」
「何や、妙な感じになってきたな」
 空汰は嵐の言葉を聞いてどうにもという顔で述べた。
「お嬢ちゃんも」
「そうかしら」
「何かもっとこうクールな」
「私は私よ」
 これが嵐の返事だった。
「最初からね」
「それで言うんかいな」
「考えは変わったわ」
 そうだというのだ。
「今はね」
「そう考えてるんかいな」
「皆で最後まで」
 まさにその時までというのだ。
「戦ってね」
「そうしてなんか」
「神威が言う通りに」
 ここで彼を見た、そして言うのだった。
「皆で木を見ましょう」
「あの木か、なら俺もだ」 
 神威は嵐のその言葉を受けて言った。
「小鳥に封真にだ」
「私達もなの」
「守る、誰も死なせるか」
 こう言うのだった。
「絶対にな」
「そうするのね」
「そうする、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「皆であの木の前に行こう」
「そうね、絶対に」
 小鳥は神威のその言葉に頷いた。
「そうしようね」
「それじゃあな」
「お互いにね」
「守っていってな」
「皆で行こうね」
「そうするぞ」
 うどんすきを食べながらそうした話をした、その中でお互いを知って絆も深めていった。戦いが近付く中でそうしていった。


第三十一話   完


                    2023・6・8 
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