神々の塔
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第三十二話 荒野の蛇その四
「起きた世界でもこっちの世界でもな」
「それはええことやな」
中里も心から言った。
「あのマスコットはな」
「妖怪やな」
「ほんま気持ち悪いからな」
「可愛くなくてな」
「こっちの世界におったらな」
あのマスコットがというのだ。
「邪神確定やな」
「というか何で角あるねん」
このことは施が言った。
「坊さんで角あるっておかしいやろ」
「それ言われてるわ」
中里も否定しなかった。
「実際にな」
「やっぱりそやな」
「奈良のお寺と春日の鹿を一緒にしたな」
「仏教と神道やな」
「それで出来たマスコットやが」
それでもというのだ。
「そこで鹿の角もや」
「付けたんやな」
「それで出て来た時から言われたんや」
中里は禍々しいものそれこそラグクラフトの作品に出て来るそうした者達について語る顔で施に話した。間違ってもゆるキャラについて語る口調ではなかった。
「おかしいやろってな」
「あの街の遷都千三百年記念で出て来たな」
羅はこのことを話した。
「そやったな」
「それでその瞬間にな」
「言われたんやな」
「気持ち悪い可愛くないってな」
その様にというのだ。
「大不評やった」
「炎上したんやな」
「何やこれってな」
その様にというのだ。
「そうなったわ」
「そやったな」
「けどな」
不評の極みだったがというのだ。
「それが定着したんや」
「それで今も奈良におるな」
「公認でな」
よりによってその立場でというのだ。
「おるんや」
「他にマスコットキャラ出てもか」
「それでもや」
あまりにも不評で色々考える人が出て来たのだ。
「知事さんが聞かんかった」
「嫌がらせやな」
トウェインはこう言った。
「そこまでいくと」
「そうかもな」
中里も否定しなかった。
「実際に」
「そやねんな」
「しかもな」
ただ公認にしただけでなくというのだ。
「家族まで出て来たしな」
「あれな」
「調子に乗ってな」
「どっかの百万馬力のロボットみたいにな」
「あの家族はええわ」
中里は手塚治虫の代表作の一つの話もした。
「しかしや」
「それでもやな」
「あのキャラの家族はな」
「おらんでよかったな」
「家族全員気持ち悪いしな」
だからだというのだ。
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