X ーthe another storyー
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第三十話 勇気その十五
「そして死ねば」
「死後の世界か」
「お墓ね」
「そうなるわ」
「それでなのね」
「私達は一緒に行くことにしたわ」
颯姫は嵐にも答えた。
「星史郎さんとね」
「あの人のご両親のお墓に」
「特にお母さんのね」
「あの人が手にかけたという」
「あの人の魂に手を合わせにね」
「そうなのね」
「何かです」
切実な感じでだ、哪吒は語った。
「そうしないといけない、そしてしたらです」
「いいこととなのね」
「思えることでして」
それでというのだ。
「僕達は行くことにしました」
「そうなのね」
「はい、そして」
「手を合わせるのね」
「あの人のお母さんとお父さんに」
「わかったわ、ではね」
嵐はここまで聞いて述べた。
「行ってきてね」
「そうしてきます」
「桜塚さんやったな」
空汰も言ってきた、見れば彼は特大のオムライスを食べている。護刃はハンバーグライス、嵐はきつねうどんだ。哪吒はチキンカレーで颯姫は海老フライ定食である。
「あの人もそんなことしてるんやな」
「意外かしら」
「噂を聞いてるとな」
彼のそれをと颯姫に返した。
「とてもな」
「そんなことをする人じゃないわね」
「そう思ったさかいな」
だからだというのだ。
「ほんまな」
「意外なのね」
「毎月お墓参りをしてるってな」
「あの、人の痛みがわからないって」
護刃は首を傾げさせつつ言った。
「聞いてましたけれど」
「今もそう言っているわ」
颯姫は護刃に答えた。
「そうね」
「そうですよね、ですが」
それでもとだ、護刃は颯姫に話した。
「本当に人の痛みがわからない人は」
「そうしたことをしないのね」
「そうじゃないですか?」
「私もそう思うわ」
嵐もそうだとだ、護刃に続いた。
「そうした人は絶対によ」
「人のお墓参りはですか」
「しないわ」
哪吒に答えた。
「本当にね」
「そうですか」
「その筈だけれど」
「若しかしたらな」
空汰は考える顔になって話した。
「実はわかるんちゃうか?」
「人の痛みがですか」
「心それに身体の方もな」
そちらのというのだ。
「わかるんちゃうか?」
「そうなの」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
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