遭難者に寄り添った犬
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第一章
遭難者に寄り添った犬
自分達が勤務している企業の鮪漁船を空から見て状況を確認しているヘリコプターの中でだ、服パイロットのホセ=ロドリゴ若い白人の彼はメインパイロットのハイメ=ソドス三十代のメスティーソで顎の先が割れた彼に言った。
「あの、何かです」
「ああ、小船が見えるな」
「あの小船何ですかね」
「気になるな」
「ええ、ただ漂ってるだけです」
海の上にというのだ。
「若しかして」
「漂流してるのかもな」
「そうだと大変ですね」
「ああ、ちょっと見に行こう」
ソドスも言った、そして船の上に行くと。
瘦せ衰えた白い髭をかなり伸ばした男が両手を振っていた、船の甲板にはエスオーエスの文字があり男の傍には黒く大きな耳が立った犬がいた。その男と犬を見てだった。
ソドス達はすぐに鮪漁船に連絡して小船の方に行ってもらった、こうしてライム=シャドックオーストラリアのシドニーを拠点として太平洋で漁をしている元IT企業の社員は雌犬のベラと共に保護された。
「二ヶ月ですか」
「そうなんです」
シャドックは船長に話した。
「ずっとです」
「この太平洋で漂流していましたか」
「幸いサバイバルの知識と道具があったので」
それでというのだ。
「魚を釣って生で食べて雨水を飲んで」
「生きておられましたか」
「日中は船の中に入ってです」
「日光を避けて」
「熱中症とかに気を付けていました」
「そうでしたか、大変でしたね」
「その間ずっとです」
シャドックはベラを見て話した。
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