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ハッピークローバー

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第九十話 欲情の自覚その十二

「百九十センチ百三十キロある」
「大男ですよね」
「今でもプロレスラー並でしょ」
「はい、確かに」
「そこまで大きかったから」 
 父である秀吉が小柄であるのに対してだ。
「しかも秀吉さん五十過ぎてお子さん出来てるし」
「ええと、当時って人間五十年でしたね」 
 富美子はどうにもという顔で言った。
「大体五十が寿命ってことですね」
「そう思っていいわね」
 店長も否定しなかった。
「おおよそでも」
「そうですよね」
「それなのにね」
「その五十過ぎてお子さんが出来た」
「このこともね」
「おかしいって言われてたんですね」
「それまで出来なかったのに」
 女好きと言われる彼がだ、尚秀吉は当時では普通であった男色の趣味はなく女性のみの人間であった。
「出来たのよ」
「そのこともおかしいですね」
「そうでしょ、全然似ていないうえに」
 このことに合わせてだったのだ。
「そうした理由もあってしかも淀殿さんとだけよ」
「お子さんが出来たのは」
「あまりにもおかしいって思われてたのよ」
 当時からというのだ。
「これがね」
「ううん、じゃあ淀殿さん不倫してたんですね」
 かな恵はここまで聞いてこのことを察した。
「つまりは」
「そう言われてたし」
「今もですか」
「その説あるわ」
「それで今店長さんも言われてるんですね」
「ええ、それで秀吉さんが梅毒だったっていう説もね」 
 店長はまたこちらの話をした。
「あるから」
「そうなんですね」
「ちなみに淀殿さんの不倫相手は」
 店長はさらに話した。
「大野治長さんって言われてるわ」
「ああ、大坂の陣で出て来る」
「豊臣家の重臣さんでしたね」
「それも筆頭格の」
「あの戦争で死んでますね」
「ドラマとかだと悪役っぽいですね」
「その人がね」
 まさにというのだ。
「そうじゃないかって言われてるのよ」
「とんでもないですね」
 ここまで聞いてだ、かな恵も唖然となっていた。
「天下人の奥さんが不倫って」
「とはいっても側室さんだから」
「正妻さんじゃないですね」
「正妻さんは知ってるでしょ」
「ねねさんですね」
「そう、あの人でね」
「そこは譲れないものがありましたね」
「ええ、だから正妻さんが不倫してないから」
 だからだというのだ。 
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