ハッピークローバー
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第九十話 欲情の自覚その十
「それじゃあ」
「ええ、けれどその頃はね」
「そうした治療しかなかったんですか」
「お薬もなかったし」
ペニシリンもというのだ。
「それでよ」
「そんな危ないことしてたんですか」
「生きるか死ぬかだったから」
当時梅毒に感染してしまえばだ。
「もうそれでね」
「水銀まで使って」
「やってたのよ」
「それでシューベルトは死んだんですね」
「あと助かっても」
その治療が成功してだ。
「後遺症あったそうよ」
「水銀ですからね」
「頭の回転が鈍くなったりね」
「洒落になってないですね」
「熱病に感染する方も」
こちらもというのだ。
「一か八かの」
「危険なものだったんですね」
「そうよ、それで治療しなかったら」
「まず死んだんですね」
「身体ボロボロになって廃人になって」
そうしてというのだ。
「酷い死に方したのよ」
「怖いですね、梅毒って」
理虹はここまで聞いて真っ青になって言った。
「本当に」
「だからわかるでしょ」
「ゴムは大事ですね」
「そうよ、使い方をわかることはね」
「そして使える様になることは」
「本当にね」
まさにというのだ。
「大事なことなのよ」
「赤ちゃんが出来ないですし」
「そうした病気も防げるからよ」
「いいんですね」
「今は助かっても大変よ」
「梅毒になったら」
「他の病気もね」
淋病等のことも言うのだった。
「一旦なったらね」
「治療大変ですか」
「助かる様になっても」
それでもというのだ。
「なると大変だから」
「最初からですか」
「ならないことがね」
それがというのだ。
「一番なのよ」
「そうですか」
「だからあんた達もね」
「ゴムのことはですね」
「身に着けておいてね」
「そうします」
「そういえば」
ここで一華が言ってきた。
「そうした病気てお風呂でも感染しますね」
「持ってる人が湯舟に入ってその後よく洗わないとね」
「なりますか」
「どっかの高校の野球部で」
店長は自分が聞いた話をした。
「感染した子が寮の湯舟に入って」
「あっ、他の人も入って」
「それで皆感染したって話もね」
「あるんですか」
「だから浴槽もね」
「奇麗にすることですね」
「こうしたことはレアケースでも」
それでもというのだ。
「ちゃんとね」
「洗わないと駄目ですね」
「感染症はまず清潔に」
そうすることだというのだ。
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