八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百十一話 恐竜達その十一
「幾ら大人しくとも巨体だ」
「迂闊に近寄るなですね」
「満腹になると大人しいが」
「踏み潰されますね」
「ジープなぞ一踏みだ」
軍用車はというのだ、この時代ではジープはどの国でも軍用車を表す言葉になっていて定着しているのだ。
「まさにな」
「左様ですね」
「そうなるからな」
「海だとボートですね」
「そうだ、あっさりとだ」
まさにそんな感じでというのだ。
「ひっくり返される」
「あちらにそのつもりはなくとも」
「鯨が喧嘩をすると海老が死ぬ」
「巻き込まれて」
「大物が動くとな」
それだけでというのだ。
「実にだ」
「小さな生きものは簡単に踏み潰される」
「そうなる」
実際にというのだ。
「まさにな」
「相手が気付かないうちに」
「そうだ、ブロントサウルスが虫を踏み潰して気付くか」
「その筈がないです」
上等兵も答えた。
「全く」
「そうだな」
「はい、意識しないで」
「そうなる、だからな」
「近寄らないことですね」
「そういうことだ」
こう言うのだった。
「注意することはな」
「そこは注意ですね」
「それに野生だとな」
「何時空腹かわからないですね」
「だから野生の恐竜に迂闊に近寄ることもな」
このこともというのだ。
「よくない」
「そういうことですね」
「そうだ、では次のコーナーに向かうか」
「恐竜からだな」
「そうしよう、いいな」
「わかりました」
上等兵は大尉の言葉に頷いた、そしてだった。
二人は恐竜のコーナーから別のコーナーに向かった、彼等の動物園の中を見て回ることはさらに続くのだった。
恐竜達 完
2023・4・9
ページ上へ戻る