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イベリス

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第百十話 咲が気に入った服装その七

「私も」
「そうお考えですか」
「高校、大学を卒業して就職して」
「それからですね」
「はい」 
 速水に答えて話した。
「それからです」
「そうされるおつもりですね」
「いや、出来るかどうかはです」 
 咲は少し苦笑いになって答えた。
「まだです」
「わからないですね」
「そうですが」
「いえ、小山さんはこのままいかれれば」
 人生を歩めばとだ、速水は答えた。
 そしてもう一枚別のカードを出した、それは星の正だった。それを見つつそのうえで咲に話すのだった。
「何があってもです」
「結婚出来ますか」
「幸せなそれが、そして」
 それでというのだ。
「ご家庭もです」
「幸せなものになりますか」
「必ず」
「そうなんですね」
「小山さんは素敵な女性になられ」
 速水はさらに話した。
「素敵な方と出会われ」
「その人と結婚してですか」
「幸せな家庭をです」
「築けるんですね」
「いいお子さんもです」
「授かりますか」
「必ず。小山さんの人生はいいものです」
 またカードを出したが今度は運命の輪の正だった。
「ご安心下さい」
「そうですか」
「ですからこのままです」
「表の世界で真面目にですか」
「生きて下さい、世の中残念ですが」
 速水はこう前置きしてこんなことも言った。
「裏の世界でしかです」
「生きられない人もいますか」
「どうしても。そうした運命と言うべきか」
「運命は変えられますよね」
「ですが非常に気まぐれなもので」
 そうしたものでというのだ。
「時にはです」
「そんな人もいるんですね」
「真面目にです」
 その裏の世界でというのだ。
「生きている人もです」
「いますか」
「そしてです」
 速水は言葉を続けた。
「そうした人達は言われます」
「何とでしょうか」
「自分の様にはなるなと」
「裏の世界では生きるなと」
「裏の世界は法律がありません」
「表の世界のものですね」
「法律は、そして秩序も独特で」
「裏の世界はですね」
「アウトローの、いいとはです」
「言えない世界ですか」
「明日も知れない様な」
「そうした世界なので」
「そう言われるのです」
 自分の様にはなるなと言うというのだ。
「その様に」
「そうなんですね」
「ですから」
 それ故にというのだ。 
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