X ーthe another storyー
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第二十九話 家族その二
「素晴らしいものだ」
「貴方にとって家族はそうしたものなの」
「ああ、本当にな」
「私にとって家族は」
地の龍の仲間達のそれぞれを聞いてだ、颯姫は思った。
「意識してこなかったわ」
「そうしたものか」
「ええ、生まれてからずっとね」
それこそという言葉だった。
「そうだったわ」
「そうだったんだな」
「けれど皆のお話を聞いて思ったわ」
こう言うのだった。
「一度ね、私のお家に戻って」
「そうしてか」
「向かい合ってお話をして」
そしてというのだ。
「一緒の時間をね」
「過ごしてみるんだな」
「そうしてみるわ」
こう封真に答えた。
「じっくりとね」
「それはいいことよ」
庚も笑顔で言ってきた。
「ではね」
「お父さんお母さんと」
「一緒にいたらいいわ」
「それで地の龍の皆も」
「紹介したらね、私も行っていいかしら」
「それじゃあ」
颯姫は庚の言葉に頷いた、そしてだった。
実際に両親に家で家族に友達を紹介したいと二人共驚いて言った。
「何っ、颯姫にお友達がか」
「出来たの!?」
「そうなの」
その両親にいつもの口調で答えた。
「それで今度の日曜にでも」
「ああ、うちに来てくれ」
「是非共ね」
二人は今度は笑顔で応えた。
「颯姫にお友達が出来るなんて」
「はじめてだからな」
「貴女には縁がないと思っていたけれど」
「それなら呼んできてくれ」
「是非おもてなしさせてもらうわ」
「どの人もね」
「二人共嬉しいの」
両親の反応を見てだった、颯姫は二人に問うた。
「私にお友達が出来て」
「嬉しくない筈ないだろう」
「だって自分達の子供のことよ」
「子供に友達が出来たんだ」
「嬉しくない筈がないわ」
「そうなの。お友達はそんなにいいものなのね」
両親の返答を意外と思いつつも述べた。
「人にとって」
「一人よりずっといい」
「人はね」
「温かいからな」
「いてくれた方がずっといいのよ」
「そうなのね。それでお父さんもお母さんも」
今度は両親自体に対して言った。
「私が子供だから」
「ああ、可愛いぞ」
「愛情は持っているわ」
「それも当然だろ」
「自分達の子供ならね」
「お友達も子供も計算じゃないのかしら」
颯姫は考える顔のままこうも言った。
「それは」
「そうだな、こうしたことは絆だ」
「心のことよ」
「そうしたものは理屈じゃない」
「目にも見えないしね」
「けれど確かにある」
「そんなものよ」
二人で颯姫に話した。
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