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神々の塔

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第二十九話 星の女神その十二

「キリスト教やとね」
「どうしてもやね」
「許せないことなのよ」
「気持ち悪い?」
「それに生産性がね」
 これがというのだ。
「ないでしょ」
「まあ同性で子供出来んわ」
 綾乃もそれはと答えた。
「自然の摂理やね」
「そのこともあってね」
「ユダヤ教以降やね」
「同性愛は否定されていたのよ」
「それこそ神罰が下る位の」
「ソドムとゴモラみたいにね」
「あの二つの街は他にも色々あって」
 聖書にはそう書かれている。
「それでやね」
「そう、焼かれてね」
 神の怒りの炎によってだ。
「塩によ」
「なったんやね」
「核攻撃受けたみたいになったのよ」
「同性愛はそれだけ悪いことやね」
「そうなったのよ」
 まさにというのだ。
「あの二つの街も」
「気持ち悪くて生産性がないさかい」
「要するにね、ユダヤ教が生まれた当時のヘブライはね」
「めっちゃ貧しくて余裕なくて」
「メソポタミアでも辺境で」
 チグリス=ユーフラテル川から離れていた、水も緑も乏しい荒野であったのだ。それが当時のヘブライの地であった。
「ちょっとしたことでね」
「大変になるから」
「もうあれするなこれするなで」
「めっちゃ禁欲的で厳しくなって」
「その中にね」
「同性愛もあって」
「厳しく禁じられていたのよ」
 そうだったというのだ。
「その辺り日本とね」
「お水と緑が豊かで」
「周りに海の幸も多いね」
「そうしたところとちゃうんやね」
「そういうことよ」
「そやね、環境が違うと」
 綾乃は飲みつつ頷いた。
「信仰も違って」
「決まりもちゃうのよ」
「そういうことやね」
「そう、まあ今は昔程言わないから」
 アレンカールは玉蜀黍を焼いたものを食べつつ応えた。
「安心してね」
「キリスト教でもやね」
「むしろ認めようって言われてるから」 
 同性愛をというのだ。
「安心してね」
「そっちの趣味はなくてもやね」
「ええ、そうよ」
「それやとええわ」
「そういうことでね」
 こうした話もしつつだった。
 一行は今は神霊達との戦に勝ったことを祝って飲んだ、そのうえでまた次の階に向かうことを考えるのだった。


第二十九話   完


                    2023・6・8 
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