X ーthe another storyー
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第二十八話 交錯その十三
「好きで入ってな」
「それで、ですか」
「肌にも合っていてな」
それでというのだ。
「今もずっといるんだ」
「そうですか」
「困っている時人を助けられる」
草薙は微笑んで話した。
「そうした仕事をしたくてな」
「自衛官になられましたか」
「ああ、それでなったらな」
「合っていたんですね」
「有り難いことにな、それで空挺隊にな」
その部隊にというのだ。
「いるんだよ」
「それは凄いわね」
颯姫は空挺隊と聞いて麩を食べつつ言った。
「あのマークはそうはね」
「ああ、マークって言うだろ」
「自衛隊のそれぞれの職種は」
「よく知ってるな、そうなんだよ」
草薙は颯姫にも微笑んで話した。
「パラシュートで降下するけれどな」
「やっぱり身体が丈夫で」
「いざっていう時の度胸とかな」
「そうしたものが必要だから」
「色々と適性があってな」
「そうはなれないわね」
「ああ、けれどその空挺隊になれてな」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「自衛隊にいるのね」
「そうなんだよ、もう入って結構経つが」
自衛隊にというのだ。
「俺は好きだ、ずっといたい」
「そうなのね」
「これからもな」
「ならそうしたらいいわ」
それならとだ、颯姫は草薙に応えた。
「是非ね」
「ああ、定年までいるな」
「貴方がいたいなら。ただ」
ここでだ、颯姫は草薙に言った。
「私達は人間を滅ぼすから」
「ああ、ちょっとな」
草薙はその話になると暗い顔になって述べた。
「自衛隊もな」
「いられなくなるわ」
「そうだよな」
「そうしたことは考えなくていいわ」
ここで庚が椎茸を食べつつ言ってきた。
「私達はね」
「けれど」
「いえ、そうしたことは考えなくてね」
颯姫が言おうとしてもそれを打ち消して言うのだった。
「ことを進めていけばいいわ」
「戦えば」
「そうしていけばいいのよ」
「わからないわ。私達が戦うことは」
「人間を滅ぼす為ね」
「そうなるから」
それ故にというのだ。
「考えなくていいなんて」
「今はわからなくていいわ、今すぐにわからなくてもね」
「それでもなの」
「これからね」
「わかってくるのね」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「今は考えないでね」
「戦っていけばいいのね」
「貴方達はね」
まさにというのだ。
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