何時の間にか首位交代

「あいつがそう言うのってね」
「いつもだからか」
「ふーーんで終わったか」
「そうだったんだな」
「根室っちにしても」
「妹さんの言葉は」
「そうだったんだ、けれどね」　
　それがというのだ。
「まさかね」
「首位とかな」
「十連勝して」
「思いも寄らなかったな」
「全くだよ、予想してなかったよ」
　クラスメイト達にどうかという顔で答えた。
「厄介だよ」
「まあこういうこともあるな」
「本当に予想は予想だな」
「実際はどうなるかわからないな」
「それも野球だよな」
　クラスメイト達もこう言った、そして同じ頃。
　千佳は自分のクラスで月刊カープを読んでだった、極めて真剣な顔で色々チェックを入れつつ言った。
「まだまだ改善点多いわね」
「いや、首位でしょ」
「十連勝してよ」
「そうなったでしょ」
「まだ五十試合以上あるのよ」
　千佳は真面目な顔で言った。
「わからないわよ、阪神だってね」
「まあこれからね」
「巻き返すかもね」
「そうするかもね」
「それに横浜もいるし」
　このチームもというのだ。
「ヤクルトだって調子上げてきたし」
「油断出来ない」
「そうだっていうのね」
「首位になっても」
「そうよ、私は優勝するって予想していたわ」
　愛するカープがというのだ。
「けれど最後の最後まで、でしょ」
「勝負はわからない」
「何があるかわからない」
「そうだっていうのね」
「そうよ、新井さんには頑張って欲しいし」
　監督である彼にはというのだ。
「コーチや選手の皆さんもね」
「これからも頑張って欲しい」
「首位になったけれど」
「むしろこれからなのね」
「そうよ、全試合勝つつもりでね」
　その意気でというのだ。
「特に巨人にね」
「そこで巨人言うのが千佳ちゃんよね」
「巨人本当に嫌いだからね」
「そう言うのよね」
「大嫌いよ、巨人なんか」
　クラスメイト達に真顔で言った。
「あんなチーム万年最下位になればいいのよ」
「それ同感よ、私達も」
「巨人なんてそうなればいいのよ」
「ずっと負けてればいいのよ」
「何が球界の盟主なんだか」
「悪いことばかりして」
「あそこは日本の北朝鮮でしょ」
　千佳は邪悪に満ちたこのチームのことをこう言った。
「本当にね」
「そうよね」
「巨人はまさにそうよね」
「悪いことばかりしてフロントは無茶苦茶で」
「将軍様みたいな独裁者いるしね」
「その巨人にはね」
　何があっても、そうした言葉だった。
「勝たないとね」
「どんなチームもね」
「巨人には何があっても全力で挑んで」
「勝たないといけないわね」
「そして最下位にしないとね」
「あれだけ優勝したんだから千年連続で最下位になっていいでしょ」
　千佳はこうも言った。