X ーthe another storyー
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第二十七話 集結その十五
「貴方は悪人じゃないわ」
「目を見るとですか」
「雰囲気もね。禍々しいものはないし」
颯姫はさらに話した。
「人相もね」
「そちらもですか」
「悪意は全くないから」
「だからですか」
「きっと彷徨っているのね」
こうもだ、颯姫は言った。
「貴方は、そして今は」
「この中にですか」
「入ったわね、それじゃあ」
「ええ、これからはずっとです」
おかわりのザッハトルテを食べつつだ、星史郎は答えた。他の面々もそれぞれおかわりのケーキを食べている。
「皆さんと一緒にいていいでしょうか」
「貴方は地の龍の一人よ」
颯姫は星史郎のその言葉に一言で答えた。
「それならね」
「いいですか」
「ええ、ずっとね」
「皆さんとですね」
「是非いてくれるかしら」
「是非ですか」
「貴方から悪い印象は受けないから」
それ故にというのだ。
「尚更ね」
「それでは」
「ええ、一緒によ」
「それではそうさせて頂きます」
「私達はずっと一緒よ」
庚も言って来た、今の彼女は杏のケーキを食べている。
「何があってもね」
「そうなのですね」
「同じ地の龍だから」
それ故にというのだ。
「だからね」
「貴女もそう言ってくれますか」
「そうよ、それではね」
「これからずっと」
「一緒よ、いいわね」
「そうさせて頂きます」
ここでだった。
星史郎の目、光を失った方もだった。
微笑んだ、そしてだった。
声もだ、これまで以上ににこやかなものになって言った。
「温かいですね」
「この中にいるとな」
草薙も笑顔で応えた、彼は今は苺のケーキを食べている。
「自然とな」
「そう思えますね」
「そうだな、いい感じだ」
「貴方もそう思いますね」
「入ったばかりだけれどな、それじゃあな」
「これからですね」
「一緒にな」
まさにというのだ。
「いような」
「それでは」
二人で笑顔で話した、そして仲間達と共にケーキに紅茶を楽しんで最初の親睦を深めた。そこにあるものは悪いものではなかった。
第二十七話 完
2023・5・8
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