運命論者
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第三章
「予言じゃないんだ」
「神様仏様がだよな」
「決めるな」
息子にもこのことを話した。
「そんなものなんだ」
「運命と予言は違うんだな」
「そうだ、運命は神様や仏様が決めてな」
「予言は人間が言うことか」
「何かを感じて最悪詐欺でな」
「詐欺って問題だよな」
「ああ、予言だと言えば詐欺にならないけれどな」
それでもというのだ。
「カルト教団なんかはな」
「そこから取り込もうとするからか」
「注意するんだ、いいな」
「ああ、じゃあこの本読み終わったらな」
息子は父の話をここまで聞いて言った。
「捨てずに本棚に置いておくな」
「そうして何年か経って読むと面白いからな」
「それじゃあな、何か人類が滅亡するとかな」
息子は父に今読んでいるその本のことを話した。
「書いてあってそれなら何もしないでいいかともちらっと思ったけれどな」
「そんなこと人間にわかるか」
「運命だからか」
「そうだ、運命は人間にはわからないんだ」
絶対にとうのだ。
「わかるのはな」
「それはか」
「あくまでな」
「神様仏様か」
「そうなんだ」
こう言うのだった、息子もそういうものかと頷いた。そのうえでその本を読んでいった。
この話をだ、佐竹は会社帰りに宇都宮に居酒屋で一杯やりながら話した、すると宇都宮はこう彼に言った。
「まあ予言ってな」
「外れてるだろ」
「やたら人類滅亡って言ってな」
「中には箸が転がっても言ってる漫画とかあったな」
「ああ、昔な」
実際にとだ、宇都宮は焼き鳥を食べつつ答えた。
「あったな」
「そうしたものだからな」
それでというのだ。
「俺は信じないんだ」
「予言はか」
「そんなもので人生左右されてたまるか」
佐竹は眉を怒らせて言った。
「まして滅亡するから何しても無駄だと思ってな」
「実際に何もしないことはか」
「しないからな」
絶対にというのだ。
「予言は信じるか」
「運命は信じてもか」
「だから言ってるだろ、運命はな」
「神様仏様がだな」
「定めてな」
そうしてというのだ。
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