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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第三十八章

「B52暗黒星団から来た今までの組織、戦いを裏で操ってきた存在」
「流石だ。そこまで知っていたか」
「三十五年前の隕石は貴様が落としたそうだな」
「如何にも」
 キュリオスはその言葉に頷く。
「ネイティブもまた。全ては私が仕掛けたことだったのだ」
「ひよりもか」
 天道はキュリオスに問う。
「ひよりもまた貴様が」
「言った筈だ、渋谷の隕石は私が落とし」
「ネイティブもまた。ショッカーと同じ時期にだな」
「そうだ、私は全ての策を最初から仕組んでいたのだ」
 そういうことだったのだ。ネイティブはスサノオが既にショッカーを築いていた頃から仕掛けていたのである。彼のあまりにも遠大な計画であった。
 彼はショッカーから続くあらゆる組織の黒幕であった。財団もまた同じである。グロンギやオルフェノクを生み出し、バトルファイトで生物を縛ったのも。全ては彼であったのだ。
「聞こう。何の為だ」
 天道はまたキュリオスに問うた。
「何故地球と人間にこだわる」
「それは既にわかっていると思うのだが」
 キュリオスは笑みを含んだ声で天道に言葉を返してきた。
「他ならぬ君自身がな」
「楽しんでいるのか」
 天道がこう応えてきた。廃墟の中で存在しているのは彼一人である。だが彼は孤独の中にはいなかった。既に戦いの中に身を置いていたのだから。
「人間との戦いを」
「私は永遠に君達と戦いを続ける」
 キュリオスはその言葉に応えるかのように言葉を続けてきた。
「世界を手に入れるよりもまず君達との戦いをな。行わなければならない」
「そうして何を見るつもりだ?」
 天道はまたしても首領に問うてきた。姿を見せない彼の気配を感じながらやや俯いてだ。そうして彼に対して直接問うていた。
「人間の何を。貴様は見るのだ」
「わかるか、私は永遠の牢獄の中にいた」
 今度はこう述べてきた。笑みが少し消えた声になった。
「ツクヨミとの戦いに敗れ。そうしてその牢獄の中で君達人間というものを見てきた」
「俺達を」
「その君達を見て思うのだ。果たしてどういった生き物なのか、何を考えその果てにあるものは何かとな。色々と興味は尽きない存在ではあるのだよ」
「そして隕石もまた。ひよりも」
「一つ聞きたいことがある」
 キュリオスはまたしても役柄を交代させてきた。彼が問う役に回ったのだ。
「妹さんは何処にやったのかな」
「それは俺を倒せばわかる」
 天道は答える。
「全てな」
「そうか、君を倒せばか」 
 今の天道の言葉に笑って応えてきた。
「女王の居場所がわかるというのだな。ネイティブの」
「決してわかることはない」
 腰の左に手を置いて述べる。
「御前にも誰にも。ひよりの今の居場所は」
「それはどうしてかな?」
「簡単だ、俺が勝つ」
 傲慢なまでに自信に満ちた声で述べてきた。
「御前が例え神であろうとも俺に勝つことはできない。何故なら」
 右手で天を指差す。そうして言った。
「世界は俺を中心に回り俺は世界の中心だからだ。この天道総司のな」
「私を前にしてそうしたことを言うとはな。見事ですらある」
「では早く出て来るのだ」
 キュリオスを呼ぶ。神であるスサノオであっても彼は怖れてはいなかった。
「俺との戦いにだ。いいな」
「ふふふ、では出よう」
 キュリオスもそれに応える。そうすると前に人型の黒い影が姿を現わした。赤金色のスカラベに似た姿であった。カブトに似ているがそれでいて全く異なる。そうした姿であった。
「かつてオルフェノクの王であり統制者であった」
 天道はそのキュリオスに対して言う。
「そして今度はその姿か。ワーム、そしてネイティブの王としての姿」
「そうだ、私の身体の一つ」
 天道の姿の前に姿を現わしたキュリオスが述べてきた。
 
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