イベリス
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第百八話 残暑が終わりその十二
「磨くにはね」
「ダイアモンドでしか磨けないのよ」
「人間を磨くのは人間ね」
「だから色々な人と会うことはね」
「自分を磨くことね」
「そうなるのよ」
「そうなのね」
咲も母のその話に頷いた。
「成程ね」
「これはチェ=ゲバラの言葉よ」
「あのキューバ革命の人ね」
「あの人日本にも来たことあったのよ」
「そうだったのね」
「物凄く活発な人で」
その為キューバを離れ戦いそのうえで捕虜となり処刑されている。その時の最後の言葉も歴史に残っている。
「日本にも来たしね」
「そうした言葉も残してるのね」
「お母さんもお父さんも共産主義じゃないけれど」
ゲバラと違ってというのだ。
「けれどね」
「この言葉は好きなの」
「それでその通りだって思ってるの」
「いい言葉ね、確かに」
咲も聞いて思った。
「言われてみれば」
「だからどんどんね」
「人と会うことね」
「そして知ることよ」
「それが大事なのね」
「例えば大谷翔平さんみたいな人を知ることもよ」
この超人の様な能力を持つ野球選手もというのだ。
「いいことよ」
「そうなのね」
「世の中あんな凄い人がいる」
「そのことも知ることね」
「そしてそうした人は妬まずにね」
「ああなりたいって思って努力することね」
「努力すればよくなるから」
必ず、そうした言葉だった。
「それでよ」
「そうした人を目指して努力することね」
「エジソンは凄く問題があったけれど」
自分のライバルを謀略を用いて貶めたり否定しようともした、他にも自身が雇った人間への過酷な対応でも知られている。
「少なくとも凄いことはしたわ」
「発明王ね」
「そうしたいい一面もね」
こちらもというのだ。
「お手本にすることよ」
「問題点は反面教師にして」
「そうもしてね」
「いい人でも悪い一面があることね」
「嫌いな人を全否定したら」
「いい面が見えないわね」
「流石にいいところがない人はね」
それこそというのだ。
「殆どいないから」
「流石にそうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「いい面と悪い面もね」
「それぞれの人の」
「そちらも見てね」
「そうするわね」
咲は母の言葉にも頷いた。
「私も」
「ええ、そうしたらね」
「本当によくなるのね」
「人はね」
「ダイアモンドだし」
「そう、人と会って磨かれるから」
それ故にというのだ。
「咲もね」
「磨かれることね」
「そうしてきなさい」
「わかったわ、じゃあどんどんお付き合いしていくわね」
「是非ね、じゃあ今日お話したことも」
「覚えておくわね」
「そうしてね、咲はまだ高校生で」
それも一年生だ、二学期を迎えたばかりの。
「勉強することはね」
「多いわよね」
「本当にこれからだから」
その人生はというのだ。
「それでよ」
「これからも」
「そう、勉強してね」
「そうしていくわね」
咲は実際に今日の両親の言葉も覚えておこうと決意した、そのうえでこの日も終えたのだった。その青春は学ぶべきことが多いと思いもした。
第百八話 完
2023・4・23
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