イベリス
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第百八話 残暑が終わりその七
「逆にね」
「前よりしっかりしてるな」
「大人になったわね」
「ああ、今の愛ちゃんならな」
「咲も一緒にいていいわ」
「そうよね」
「でしょ?お姉ちゃん派手なのはファッションだけでね」
咲は両親に梅酒を飲みつつ話した。
「中身はよ」
「しっかりしているな」
「真面目よね」
「ちゃんと世の中のことがわかっていて」
それでというのだ。
「色々教えてくれるのよ」
「そうだな」
「悪いこともしないしね」
「変な遊びもしないのよ」
愛はというのだ。
「健全な遊びばかりだから」
「東京って悪い遊びを出来る場所も多いのよね」
母はどうかという顔で言った。
「何かとね」
「そうよね」
「沢山の人がいて狭い中で色々な場所があるから」
そうした街だからだというのだ。
「悪い遊びが出来る場所もね」
「多いのよね」
「だからね」
それでというのだ。
「愛ちゃんもあのファッションだから」
「悪い遊びしてるかもって思ったのね」
「変な男の人と付き合ったり」
そうしたりというのだ。
「悪い場所に行ったり変なアルバイトしたり」
「風俗とか?」
「そう、あるから」
東京にはというのだ。
「この街はいいものも悪いものもね」
「どっちも沢山あるわね」
「そうした街でもあるから」
「お姉ちゃんについても」
「心配だったのよ」
「そうなのね」
「けれどファッションだけで」
それでというのだ。
「真面目だからね」
「いいのね」
「お母さんもね」
「お父さんもな、今の愛ちゃんなら咲を預けられる」
父はウイスキーを飲みつつ笑顔で話した。
「これからもな」
「そうなのね」
「本当にな、ただな」
「ただ?」
「いや、愛ちゃんと一緒にいて離れる時もあるだろ」
「二人も遊ぶ時に」
「誰かと一緒にいて一人になるとな」
そうなると、というのだだ。
「その時はふと危険なことが来たりするからな」
「そうなの」
「世の中不思議とな」
「誰かと一緒にいる時に一人になったら」
「そうした時にな」
「そうなのね」
「だからな」
そうしたものだからだというのだ。
「そんな時こそ注意しろよ」
「そうするわね」
「ああ、本当にな」
「ずっと一人だと注意しても」
「誰かといればそれで安心って思うな」
「そこでふと一人になったら」
「そんな時こそ何かが起こってだ」
そうなってというのだ。
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