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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第三十三章

 田所の的確な指揮によりサナギワームはその数の殆どを減らしていた。ゼクトルーパーを後方に置きライダー達の援護をさせる戦術が成功していた。ワームはその弾幕に押され先に進めずライダー達の攻撃を一方的に受けていたからだ。田所が指揮する三人も田所を中心に猛攻を浴びせボードのライダー達も橘の指揮の下剣崎と彼、そして相川を軸としてゼクトルーパーの援護射撃の下拡散的な攻撃を浴びせてワーム達を纏めて倒していた。戦いは勝利に向かおうとしていた。
「かえってキングフォームにならなくてよかったですね」
「そうだな」
 橘は剣崎のその言葉に頷いた。
「どうやらこの戦いはな。一対一ならともかく」
「大勢のこれ位の敵だと今の俺達だとそうですね」
「そういうことだ。かえってエネルギーを消耗しなくて済む」
 橘はそう述べる。実際にジャックフォームを使っているだけであった。
「後々の戦術として考えるか」
「はい」
「それはそうとだ」
 相川がここで二人に言ってきた。
「あの二人の戦いもそろそろ決着がつくぞ」
「あの二人か」
「そうだ」
 そう二人に言葉を返す。
「いよいよだ。どうする?」
 援護に向かおうか、そう二人に尋ねてきた。しかし剣崎はそれに首を横に振った。
「いや、止めておいた方がいい」
「何故だ?」
「御前もわかっているんじゃないのか、始」
 そう相川に返してきた。
「わかっている、か」
「あの二人にも意地があるんだ」
 剣崎はこう答えた。
「だからなんだ。あの二人が倒れた時は全力で助けにいくべきだけれど」
「今はそうではない」
「それでいいと思うんだがな、俺は」
「そうか」
「御前がどう思ってるかはわからないけれどな」
 また相川に返した。
「それにだ。あと少しだ」
 サナギワームとの戦いに顔を向ける。
「俺達の戦いをするとしよう、どうだ?」
「そうだな」
 相川は少し考えてから剣崎の言葉に頷いた。納得したのだった。
「ここはな。だがいざという時は」
「ああ、行くか」
 彼等はワームに対して最後の攻撃を仕掛ける。その中心で矢車と影山は二人の乃木に向かって戦っていた。乃木の強さは尋常ではなく二人は圧倒され続けていた。
「うわっ!」
「ぐっ!」
 二人は乃木達の攻撃に吹き飛ばされ背中から地面に叩き付けられる。しかしそれでもまだ何とか立ち上がるのであった。
「まだだ、そうだな相棒」
「ああ、兄貴」
 影山は矢車の言葉に頷く。片膝をつき血反吐を吐きながらもまだ立ち上がる。
「俺達だけの光を掴む。そうだな」
「ああ、白夜を」
 二人は言葉を交える。そうしてまた立ち上がる。血反吐が土埃を紅く染める。
「掴もうぜ、だから」
「やるぞ」
 乃木達を見据えて完全に立ち上がる。そのまま彼等を睨み据える。
「まだやるというのか」
「以前より耐久力だけは上がっているようだな」
 二人の乃木はそんな彼等を見て声を出してきた。
「耐久力だけじゃない」
 矢車はそんな乃木達に対してまた述べる。
「今の俺達には夢がある。相棒と」
「兄貴と」
 影山も同じであった。満身創痍になりながらも立ち上がり乃木達を見ている。
「白夜の光を掴む」
「だから・・・・・・御前等を!」
「面白い」
「面白い」
 二人の乃木の声が完全に合わさった。
 
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