仮面ライダーカブト 明日のその先へ
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第三十一章
「ここからはじまるんだ、俺達だけの光が」
「ああ、これからな」
二人は乃木との戦いに入った。そのすぐ横では風間が麗華と対峙していた。
「麗華さん、それでは」
「はい」
麗華は目を伏せて頷く。そしてウカワームになった。
「これでお別れです」
「貴女のことは永遠に心に」
彼女にそう告げた。それ以上は何も言おうとしない。彼等もまた戦いに入った。
天道と加賀美はそのままワーム達を突っ切りさらに先に進む。その途中で神代はワーム達の中で自分自身と向かい合っていた。
「やはりいたな」
彼の前にはスコルピオワームがいた。まるで野獣のように殺気を放っている。
「御前はかつて俺だった」
神代はそのスコルピオワームを睨み据えて言う。
「そして俺と姉さんを殺した。そう、仇でもある」
「そうだ」
スコルピオワームもそれに答えてきた。
「また俺は俺に戻る。だから」
「ふざけるな」
神代は怒りに燃える声でワームに返した。
「俺は今から仇を取る。俺の、そして」
剣を構える。その剣の光を顔にも映しながら言う。
「姉さんの仇!ここで!」
彼は彼自身との戦いに入った。ワーム達との戦いも佳境に入っていた。
天道と加賀美はワーム達を突っ切り渋谷の奥にいた。そこには後ろからワームを攻撃せんとしていたネイティブの強硬派達がいた。それを率いているのはやはり根岸と三島であった。
「やっぱり来たんですね」
根岸は二人に顔を向けて述べてきた。
「ここまで」
「来た理由はわかるな」
「ええ」
天道の言葉に頷く。
「それはもう聞くまでもないでしょう」
「そういうことだ。ではいいな」
天道は言った。
「行くぞ」
「はい、それでは」
「加賀美」
三島がゆっくりと加賀美の前に出てきた。ゆらりとした流れるような動きでだ。
風が両者の間に舞う。しかしそれを見ても彼等は動じない。廃墟の中の風は乾いた音と共にそのまま過ぎ去っただけであった。だがそれが合図となった。
「加賀美、御前の相手は俺だ」
「わかった」
加賀美はその言葉に応える。風が去った後で彼は炎になろうとしていた。
「あんたは・・・・・・俺が倒す」
「一人でか。この私を」
「あの時の俺とは違う」
そう三島に返す。強い言葉になっていた。
「何があっても。勝ってみせる」
「そうか。ならば来い、私も容赦はしない」
三島は眼鏡を外した。そうしてそこからネイティブになった。その恐ろしい姿で加賀美のガタックに襲い掛かってきた。
「ここで・・・・・・死ね!」
「俺は・・・・・・負けない!」
加賀美もそのまま前に出た。二人は激突し、死闘に入った。
天道と根岸は二人の戦いで火花が廃墟に舞うのを見ながら対峙していた。根岸の顔は表面上は笑っている。天道はその彼に対して言った。
「御前は動かないのか」
「いえ、今から動きますよ」
そのにこやかな笑みのまま天道に返してきた。
「ですから御安心を」
「心配はしていない。何故なら」
「何故なら?」
「御前は俺には勝てないからだ」
いつもの泰然とした態度でそう告げてきた。
「御前は俺には勝てない。御前の限界は知っている」
かつて根岸が全ての人類をネイティブにしようとした時だった。天道はそこで根岸にそれが御前の限界だ、と根岸を見切った言葉をかけたのだ。天道はそれを言ってきたのである。
「どんな姿であろうとな」
「私が三島さんと同じ力を得ていてもですか」
「そうだ」
その言葉は変わらない。
「どんな姿になっても。俺には勝てない」
「ふふふ、見くびられたものです」
その言葉に不敵に笑ってみせる。相変わらず目は笑ってはいない。
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